花巻東(岩手)の最速155キロ左腕、菊池雄星投手(3年)をめぐる史上最多の争奪戦が6日にスタートする。トキめき新潟国体の準決勝敗退から一夜明けた9月30日、「プロ志望届」を5日に提出することが決まり、翌6日からプロ側との接触が解禁となる。当初大リーグ側は2球団程度ピックアップするとしていたが、希望する全球団と会う方針に変更。フルゲートになった大リーグ側は10球団以上がすでに視察を済ませ、「国内」VS「米国」の史上最多20球団にも及ぶ争奪戦が始まる。

 菊池が5日にプロ志望届を提出することを受けて、国内外の球団が続々と動きだした。接触は翌日の6日、解禁になる。国内では1位指名候補に挙げる地元楽天、ヤクルト、西武などが即日アタックする姿勢を見せる。大リーグ側もすでに10球団程度があいさつを済ませており、日米球界の大争奪戦に発展する。

 菊池ら花巻東ナインは、この日の朝、新潟から地元花巻市にバスで戻った。出発前に同校の流石裕之部長が「メジャーの方もお話をいただいたところはすべて聞くことにしました。最初に日本を聞いて、それからメジャーというように区切ってやるんじゃないでしょうか」と見通しを示した。これまで大リーグ側は2球団程度を選んで話を聞くとしていたが、希望全球団と会う方針に転換した。

 国内では現在までに巨人がホンダ・長野久義外野手(24=日大)を指名する方針を公言。横浜、広島、ソフトバンクは指名回避する見込みだが、10球団程度が争奪戦に参戦する可能性はある。大リーグでは甲子園、国体などでドジャース、ヤンキース、ジャイアンツ、カブス、ブレーブス、ツインズ、メッツ、マリナーズ、レンジャーズ、インディアンス、タイガース、フィリーズなどが視察。水面下で動向を見極める球団を含め、興味を示すチームは日米20球団以上に及ぶ。

 菊池はプロ志望届を提出する5日に、同校で会見を行う。国体終了までは進路に対する話は封印してきた。今週中は練習はオフとなり、週末は寮から実家に帰ることが許可されている。9月29日の試合後、菊池は「帰って家族や両親と相談して決めたい」と話しており「家族会議」で進路を煮詰めることになりそうだ。

 29日の日本ドラフトは約1カ月後に迫る。基本路線とする周囲も勧める国内か、夢を追ってのメジャー挑戦か。未曾有の日米大争奪戦が幕を開ける。