<高校野球南北海道大会:駒大苫小牧6-3伊達緑丘>◇25日◇1回戦◇室蘭地区予選

 この日開幕した室蘭地区で、14年連続の南大会進出を狙う駒大苫小牧が、伊達緑丘を下した。2回に岩瀬駿介捕手(2年)の走者一掃の左二塁打などでリードし、最後は逃げ切った。6回の相手走者の三塁空過を見逃さずアピールアウトにした冷静なプレーも光った。04、05年夏甲子園連覇の強豪が、第1歩を踏み出した。

 1球、ワンプレーに集中する駒大苫小牧の伝統が息づく試合だった。4-0とリードの5回表の守備で、1死二塁から左越え二塁打を浴びた。二走が悠々と生還し、盛り上がる伊達緑丘ベンチが静かになった。駒大苫小牧の佐々木簡(あきら)三塁手(2年)がボールを受け取り、ベースにタッチ。三塁塁審はアウトのコールだった。

 アピールがなければアウトにならないプレーで、当然、アピールするためには各野手がしっかり走者が塁に触れたかの確認が必要になる。主将の山口熙(ひかる)一塁手(3年)は言う。「日常の生活の中で細かなところまで注意をすることを心がけています。おかしいことに気づく、日ごろの積み重ねが、試合にも出るのかも知れません」。

 駒大苫小牧ナインは、グラウンドの整備はもちろん、部室にゴミが落ちていないか、机が曲がっていないか、ちゃんと全員が脱いだクツをそろえているか、そんなことを皆が意識して取り組んでいるという。グラウンドだけでなく、球場でのあいさつも徹底。部員全員が“風紀委員長”という原点がある。

 9回に追い上げられたが、3番手で登板した野田晟弥(せいや、2年)が闘志をむき出しに抑え込んだ。佐々木孝介監督(24)は「初戦で選手は少し硬かった。捕手が間を取ったり、アピールアウトなど落ち着いていいところもありました。夏は勝つことが条件」と、苦しみながらも1勝したことに重きを置いた。

 昨夏は南大会1回戦で札幌一と延長10回、3時間31分の壮絶な試合の末、11-12で敗れた。「やることはやった。自信を持って舞台に立とう」と話し合った今年の3年生は5人。2年生中心の若いチームだが、細かいプレーは鍛えてきた。14年連続の南大会へ、戦いは続く。【中尾猛】