<高校野球新潟大会:新潟明訓3-2佐渡>◇20日◇4回戦

 昨年代表の新潟明訓が、9回に逆転サヨナラで、センバツ出場の佐渡を下し、8強入りした。2点を追う9回裏。失策で1点を返した後、2死二、三塁で打席に入った伊藤豪主将(3年)は「打たなかったら3年間が終わり、というのが頭をよぎりました」。5球目を左中間への安打とし2者をホームに迎え入れた。伊藤にとって人生初のサヨナラ打。佐藤和也監督(54)の「伊藤まで回れば」という期待にこたえた。

 試合の流れは、1イニングに3度も送った伝令で変わった。0-1で迎えた8回表の守り。無死一、三塁のピンチで佐藤監督は1度目の伝令を送り、敬遠を指示した。大量失点の危険もある策だが、同監督は「この回が勝負だと思った」。満塁となって再び伝令を送り前進守備を確認。2死後に押し出しで1点を失うと、3度目の伝令を送って選手を鼓舞し、後続を断った。

 一見は手痛い終盤の失点だが、佐藤監督は「1失点で終わって2点差ならワンチャンス。よかったと思った」。伊藤主将も「誰もあきらめてなかった。9回も必ず逆転できると信じていた」と、ナインの思いを代弁した。最終回の2点差。チーム全体に流れた「いける」という思いが、劇的な結果につながった。

 佐藤監督は「こんな展開は初めて。野球はおもしろいな」と笑顔で話した。三条市はこの日、全国最高の38・4度を記録した。日本一暑い街で、熱い戦いを制した。【松熊洋介】