<高校野球秋田大会:能代商7-1大館鳳鳴>◇20日◇準々決勝

 秋田では昨夏優勝の能代商が、今春センバツ21世紀枠代表大館鳳鳴を下し、2年連続の晴れ舞台まであと2勝とした。

 昨夏代表の能代商が地力を見せた。9回表1死満塁から右翼本塁打の小川は「ホントにビックリ。気持ち良かった」と自身初の柵越えに、目を丸くしながら話した。チーム7安打のうち最初と最後が本塁打。華々しい打撃で今春甲子園出場校をねじ伏せた。

 終盤は、負けパターンに等しかった。7、8回と満塁の好機を逃した後に1点差に詰め寄られた。9回も無死一、二塁からバント失敗で三塁封殺。それを救ったのが、直後に打席に立ったエース保坂だった。「つなごうとした」と、左中間に二塁打。再び2点差として流れを戻し、小川のグランドスラムを呼んだ。投げても1失点で完投。毎回走者を許しても、内角への直球を生命線にしのいだ。全4試合完投、34イニングで2失点と抜群の安定感。工藤明監督は「投打に保坂サマサマです」と、ねぎらった。

 昨夏、鹿児島実に0-15と大敗した甲子園を忘れない。先発した保坂は2回もたずに5失点KO。「力不足。全国の厳しさを知った」と振り返る。昨冬から今春にかけ、坂道ダッシュを幾度となく繰り返した。「もう1回(甲子園に)行って勝つ」と体力増強に努め、体重も55キロから60キロまで増えた。雪辱の舞台まであと2勝。だが先制アーチの泉は言った。「あと2つじゃなくて、まだ2つです」。連覇に向け勢いの増した能代商の選手に、気の緩みはない。【清水智彦】