<高校野球鹿児島大会:神村学園10-3樟南>◇20日◇準々決勝

 狙いは直球1本だった。神村学園が、九州NO・1左腕を見事に攻略してみせた。山本監督は「接戦を予想していたが、大会ナンバーワンの戸田君からこんなに点を奪うとは。感無量」と2桁得点を奪ってのコールド勝ちに興奮を隠せなかった。

 3-3の同点で迎えた7回2死二、三塁。直球が多い配球を想定し、コンパクトに逆方向に打ち返す練習を繰り返してきた成果を出した。4番本田昂熙(3年)は振り返る。「負けるわけにはいかなかった。強気で行った」。初球の直球を中前打して2点を勝ち越すと、打線にがぜん勢いがついた。この回打者11人で一挙7得点の猛攻で好投手を打ち崩した。戸田も「投げ急いだ。間を空ければ落ち着けたが、できなかった」と動揺。それだけインパクトの強い7回コールド劇だった。

 勝因は他にもある。今年6月に初めて関東遠征を行った。強豪横浜を相手に2戦2敗も、互角に戦えた。好投手攻略の手応えがあった。

 さらに4回戦の川内戦での辛勝もナインの目を覚まさせていた。2点リードを9回に追いつかれ延長戦に突入、なんとか延長12回を5-3で制した。山本監督は「免疫ができていたんでしょう」と勝負の怖さに身を引き締めてもいた。

 ナインは試合前恒例となっている寮のトイレ磨きなどで、精神集中。この日も気持ちが充実していた。07年以来2度目の全国切符まであと2勝だ。【菊川光一】