<高校野球鹿児島大会:神村学園9-1薩摩中央>◇23日◇決勝

 神村学園が薩摩中央に圧勝し、4年ぶり2度目の甲子園出場を決めた。エース久保大星投手(3年)が3安打1失点で完投。打線は16安打9得点で圧勝した。ナインは冬に昨年春夏連覇を達成した興南を訪れ、野球だけでなく生活に対する心構えを学んだ。

 4年ぶりの決勝の舞台で、春の王者の強さを思う存分見せつけた。神村学園が薩摩中央に圧勝。4年ぶりの甲子園出場をつかんだ。

 鹿児島実を破りノリに乗っている薩摩中央の勢いを167センチ、65キロの「小さなエース」久保大星投手(3年)が止めた。テンポの良い投球で5回まで1安打無失点。6回失策と暴投で1点を失ったが、リズムは変わらず淡々と投げ続けた。9回、2死二、三塁のピンチを、最後は空振り三振に仕留めた。「リードがあったので思うように投げられました」。反撃のきっかけも与えず133球を投げきった。今大会6試合で5試合に登板。完投は2試合目だったが、山本常夫監督(50)は「小さい体でボロボロだったと思う。よく投げてくれた」とたたえた。

 新チーム結成当初は勝負弱く、山本監督の言う「あかんたれチーム」だった。秋の県大会は準々決勝で敗退。強くなりたいと2月には沖縄へ遠征し、昨年春夏連覇を果たした興南を訪れた。興南の我喜屋優監督(61)から勝負への心構えを3時間みっちり説かれ「私生活からきちんとしないと勝てない」と、寮生活を見直した。布団は3つ折りにたたむこと、ご飯は1粒も残さないことなど、細かいことを徹底。「最初はきつかったけど、甲子園に行くためならと、みんなで徹底しました」と山口高輝主将(3年)。加えて毎日1日1700グラムのご飯を食べ、チームの平均体重は7・5キロアップ。故障のない体が頂点につながった。「食べるのが1番きつかった」とエース久保は笑う。

 センバツで鹿児島実が8強入りしたのを見て、鹿児島実を目標にやってきた。エース久保は鹿児島実の左腕野田昇吾(3年)と同じサイズ。「小さい体でも甲子園でやれるのを見せたい」。ライバルの果たせなかった全国制覇の夢を神村学園がしっかり引き継ぐ。【前田泰子】

 ◆神村学園

 1965年(昭40)創立の私立校。97年に男女共学となった。生徒数は1322人(女子1077人)。野球部は03年創部で部員68人。甲子園出場は春2度、夏は2度目。主なOBは西武野上亮磨。所在地はいちき串木野市下名4460。神村裕之校長。

 ◆Vへの足跡◆2回戦6-1鹿児島3回戦5-0出水4回戦5-3川内準々決勝10-3樟南準決勝4-3鹿屋中央決勝9-1薩摩中央