<全国高校野球選手権:甲子園練習>◇2日

 6日開幕の第93回全国高校野球選手権に出場する東北勢全6校が、甲子園練習を行った。春夏通じて初出場の古川工(宮城)は緊張しつつも、聖地の感触をしっかりと確かめた。双子の長門大樹内野手、賢投手(ともに3年)は、東北の左腕として82年春に甲子園出場を果たした父靖さんを超えることを誓った。今日3日に組み合わせ抽選会が行われる。

 尊敬する父に肩を並べた。背番号16の兄大樹は汗をしたたらせ、聖地の泥にまみれた。右腕エース山田大貴(3年)の横で投球練習を行った弟賢は「憧れていた場所。良い感触だった」と目を輝かせた。

 2人の父靖さんは82年春、背番号10で東北の左腕として甲子園の土を踏んでいる。登板はなく、初戦敗退だったが、2人にとっては憧れの存在だ。小4で野球を始めた時から右投げの投手で「双子リレー」もあった。大樹は「ピッチャーとしてはライバルだった」と、顔がうり二つの弟としのぎを削ってきた。今夏の宮城大会準決勝で父の母校を3-1で撃破。「県大会と甲子園は雰囲気が全然違うぞ」とハッパをかけられた。

 同じグラウンドで一緒にプレーして甲子園へ-。その願いをかなえるため、賢は手段を選ばなかった。宮城大会開幕数日前、間橋康生監督(40)に言い渡された。「右の上は3人いらない。ベンチに入るなら、左かアンダースローだ」。迷わず腕を下げ、連日100球を超える投げ込みを敢行。「見てください」と間橋監督に直訴し、背番号をつかみ取った。甲子園はベンチ入りメンバーが2人減るが、2人は生き残った。

 宮城大会で2試合の出場に終わった大樹は「プレーで感謝の気持ちを伝えたい」とベンチで声をからし、出番をうかがう。背番号11の賢も諦めていない。「兄貴と一緒に、(試合で)グラウンドに立ちたい」。2人で一緒に、父を超えたい。【今井恵太】