<全国高校野球選手権:組み合わせ抽選会>◇3日◇大阪国際会議場

 第93回全国高校野球選手権(6日開幕、甲子園)の組み合わせ抽選会が行われた。2年連続出場の能代商(秋田)は、大会4日目第2試合で神村学園(鹿児島)と対戦。昨夏の初戦で鹿児島実に0-15で大敗して以来、目標にしてきた鹿児島勢へのリベンジを果たす。

 くじを引いた瞬間、山田一貴主将(3年)は複雑な笑みを浮かべた。1年前、悪夢の15失点を喫した鹿児島県勢との再戦。「26番(神村学園の相手)が空いていて、ほかは奇数ばかり。偶数が見えた時点で、やっぱりかと思いました」と山田。工藤明監督(35)も「待っていた選手たちは『山田、持ってるな~』と沸いてました」と苦笑いした。

 結ばれた因縁。左腕エース保坂祐樹(3年)は燃えていた。「去年の屈辱を晴らすチャンス」と思いをほとばしらせた。昨夏、鹿児島実戦に先発したが1回2/3で5失点。29球で降板したからだ。

 敗戦後、打倒鹿児島=全国レベルを目標に練習してきた。成果を示す格好のカードだ。工藤監督は「これ以上ない相手。あの悔しさを持ってやってきた」。甲子園から戻ってすぐ、1キロと1・2キロのバットを買いに行って振り込みを始めた。保坂も「すべてが足りなかった」と打ち込んできた。

 新たな縁もある。昨夏の甲子園では、永石和輝さん(東京国際大3年)が練習をサポートしてくれた。連絡先を交換した保坂に「母校が甲子園出場を決めた」とメールが来た。その学校が神村学園。保坂は「何て返そう…」と頭をかいたが「みんな、鹿児島大会の結果が気になってチェックしていた。鹿児島実は負けたけど、成長を示すのにふさわしい相手」と歓迎した。

 昨夏は大会7日目で調整に苦しんだが、今夏は4日目を引き当てた。県勢は初戦13連敗中だが、保坂は「昨年、自分たちが止めると言って記録を伸ばしてしまった。今年こそ!」と力強く約束した。【木下淳】