<全国高校野球選手権:光星学院16-1専大玉名>◇11日◇2回戦

 光星学院(青森)の3番川上竜平主将(3年)が、専大玉名(熊本)戦で2打席連続本塁打を含む7打点と大暴れした。3回に満塁本塁打を放つと、5回にはランニングのソロ。満塁を含む2打席連発は史上4人目。青森勢最多得点の大勝に導いた。

 打った瞬間、川上は確信した。3回表無死満塁の第2打席。真ん中低めのスライダーをフルスイングした打球は、専大玉名・左翼手のはるか上を越え、外野席に飛び込んだ。「第1打席(遊飛)でスライダーを打たされたので。思い切って一本に絞った」と、初球の甘い球を見逃さなかった。

 これで終わらない。5回表1死。泳がされながら変化球を左中間に運ぶと、落下地点で相手守備が交錯した。ボールが転々とする間に50メートル走6秒2の足で一気に生還。6回は中前適時打、8回は右犠飛で、打点は7に達した。1試合の個人最多打点8が懸かった9回2死二塁の第6打席はフルカウントから四球を選び「記録は知らなかった」と笑みをこぼした。

 プロを目指して“英才教育”を受けてきた。「人と同じことをしては上に行けない」という母道子さん(45)が小学2年から熱血指導。帰宅すると、自宅駐車場にネットを張った手製の打撃ケージに入り、近隣の高校からもらった硬式球でティー打撃を繰り返した。

 中学卒業後、沖縄から青森に野球留学。1年秋に4番を任され、2年秋に満場一致の選手投票で主将になった。朝食から丼飯3杯を課される日々で体重は昨夏から7キロ増の80キロ。12メートルの近距離から打撃投手が投げる球を打ち込み、今春からサンドバッグをたたいてインパクト力を高めてきた。

 光星学院OBの巨人坂本や日本ハム中田の打撃を参考に練習し、今春センバツの智弁和歌山戦は2安打2打点。今夏青森大会は6戦11打点、高校通算本塁打はこの2発で26本を数えた。

 先発投手としても、この日は6回3安打1失点(自責0)。最速145キロを計測したが、本職の中堅手として評価される。日本ハム山田GMは「貴重な右の大砲。うちの中田、巨人長野タイプで24人(ドラフト2位以上)に入ってもおかしくない」と絶賛。大舞台で結果を出し、ドラフト候補に急浮上した。【木下淳】

 ◆川上竜平(かわかみ・りゅうへい)1993年(平5)5月8日、沖縄県那覇市生まれ。小2の時に仲井真ライオンズで野球を始める。捕手として、6年時に全国大会のマクドナルド杯に出場。中3の時は那覇国際ポニーズでジャイアンツ杯に出場した。高校では1年夏からベンチ入り。昨秋から投手兼中堅手。遠投110メートル。右投げ右打ち。181センチ、80キロ。