<全国高校野球選手権:光星学院16-1専大玉名>◇11日◇2回戦

 歴史的爆勝だ!

 光星学院(青森)が専大玉名(熊本)に圧勝し、初戦を突破した。3番川上竜平主将(3年)の2本塁打7打点を含む16得点は、県勢の甲子園最多記録を55年ぶりに更新。17安打の猛攻で、8強入りした03年以来8年ぶりの甲子園勝利を挙げた。今春センバツは2回戦で智弁和歌山に敗戦。当時不発だった看板打線が、勝負の夏に爆発した。

 序盤2回を無得点。穏やかな開戦は、爆勝劇の序章だった。3回、最初のチャンスから一気に火がつく。無死満塁から2番天久翔斗左翼手(2年)が、右前に先制適時打。続く川上が、左翼席に満塁アーチをかけた。川上は5回にランニングのソロ本塁打も放ち、5回までに6-1とリードを広げた。

 青森大会6戦65得点。チーム打率4割1分5厘の強力打線は、まだまだ飢えていた。6回。金山洸昂一塁手(3年)の左中間二塁打を皮切りに、6本の長短打で一挙7得点。2死満塁から走者一掃の左越え3点適時打を放った、5番北條史也遊撃手(2年)は「肩が開いたり、ずれていたタイミングを試合中に修正できた」。取り組んできた実戦の対応力を結果で示した。

 2回戦で敗れた今春センバツでは「目指す攻撃野球ができなかった」と川上主将。敗戦後、被災した八戸に初めて戻り、飲料水を地域の公民館に届けたり、津波に襲われた保育園の復旧作業を手伝った。惨状に接し「センバツ後は心から野球に打ち込めない日々が続いた」と仲井宗基監督(41)は明かす。結果、5月の春季青森県大会は準々決勝敗退。八戸に2-5で敗れて「野球を、なめていた」と一から出直した。

 両翼ポール間130メートルのダッシュを1日100本。それを1週間、ぶっ通し「体が壊れるかと思った。足の感覚なんてなかった」(川上主将)。主砲の田村龍弘(2年)は、体重が81キロから74キロまで激減した。その後も、攻撃と守備で各1週間、強化練習を行って追い込み、精神面を鍛えた。

 はい上がったナインは、最後まで気を緩めず17安打を浴びせた。14-1の9回2死満塁から北條が左前に2点適時打を運んで16点。青森県勢の甲子園最多得点を55年ぶりに更新した。過去の最多得点試合は56年春、八戸14-3寝屋川(大阪)。夏は00年の光星学院10-8丹原(愛媛)で、ともに上回った。

 この日は、東日本大震災の発生から5カ月。前夜、ナインは「明日で5カ月だな。絶対に勝とう」と話し合ってから寝た。川上主将は「試合が始まればスポーツとして戦ったけど、勝つことで、いい報告ができて良かった」と笑顔。歴史的な爆勝を、震災と今も闘う地元に贈った。【木下淳】

 ◆巨人坂本(光星学院OB。横浜戦前に)「勝ちましたか!

 16点ですか!

 すごいですね!

 次回も思い切ってプレーして、楽しんでほしいですね」