<全国高校野球選手権:明豊6-3東京都市大塩尻>◇12日◇2回戦

 明豊(大分)が先発全員安打となる13安打で東京都市大塩尻(長野)を破り3回戦進出を決めた。6回稲垣翔太遊撃手(3年)の三塁打で口火を切った攻撃は長打4本を含む6安打で6得点。この回3三塁打を放ち、1イニング最多三塁打の大会タイ記録をマークした。

 2年ぶりの甲子園でのびのびと暴れ回った。明豊が先発全員安打となる13安打で6得点。1イニング3三塁打という大会タイ記録を作り、2年ぶりの勝利を挙げた。

 相手打線の好投で序盤は沈黙していた打線に火が付いたのは6回だった。先頭の稲垣翔主将が思い切り引っ張り、右翼越えの三塁打で口火を切った。続く加藤の右中間への三塁打で先制。四球を挟んで6番北里も三塁打を放ち1イニング3三塁打の大会記録に並ぶと、この回長短打6本で6得点。「自分が打たないといけないと思った。思い切って振りました」。大分大会で打率5割の主将が、甲子園でもバットでチームを引っ張った。

 豪打で知られる強豪の猛烈なトレーニングがチームを変えた。智弁和歌山の97年全国制覇のメンバーで、同校コーチだった川崎部長が今年1月コーチに就任。川崎部長の指導が始まり練習時間は2時間伸びた。夏の開幕前の6月には夏へ向けてレベルアップを目指し、地獄のトレーニングを実践。腹筋1000回、100メートルダッシュ100本、300メートル走20~30本。智弁和歌山で実際に行うメニューだが、最初はナインからは「冗談だろ」と笑いがおこった。だが夏の厳しい戦いに備えて精神力を鍛える目的もある地獄のトレーニングをやるうちに、日に日に選手の表情が変わってきた。「声が出てきて仲間を助けようという気持ちが出てきましたね」と川崎部長もナインの変化を感じた。

 次はセンバツ準Vの九州国際大付を倒した関西との対戦だ。2年前、8強入りしたソフトバンク今宮からは「8強を超えろよ」と激励の電話が来た。「強豪だけど、最後まであきらめずに頑張ります」と稲垣翔。次も打ちまくって先輩に並ぶ8強を目指す。【前田泰子】