<高校野球秋季東北大会:光星学院3-1聖光学院>◇決勝◇12日◇秋田・こまちスタジアム

 今夏の甲子園で準優勝した光星学院(青森)が、3年ぶり3度目の優勝を飾った。初優勝を狙った聖光学院(福島)に逆転勝ち。最速145キロ右腕の金沢湧紀(2年)が2安打完投。猛打のチームに頼れる新エースが誕生した。光星学院は11月23日開幕の明治神宮大会に出場する。

 地元八戸市出身の新エース金沢が覚醒した。入学した時から17キロも増えた87キロの巨体から、田村龍弘捕手(2年)のミットを目掛けて投げ込む。1回。初球をいきなり左翼席に運ばれたが、すぐ切り替えて立ち直った。2回以降も危なげなく、結局2安打に封じ込めた。甲子園準V右腕の秋田教良、ドラフト候補の川上竜平(ともに3年)が抜けた中で「驚くのがいるよ」と仲井宗基監督(41)。今秋が初マウンドの金沢が“隠し球”だった。

 最速145キロの背番号1も、金沢成奉総監督(44)が「入学時はマウンドとホームの真ん中でワンバウンドしていた」と振り返る制球難。信頼は得られなかった。準決勝の花巻東(岩手)戦も、背番号4の城間竜兵(2年)が完投。悔しがった金沢は決勝前、総監督の指導を仰ぐ。軸足を上げた際、少し腰をひねってタメを作り、タイミングを外すフォームに矯正した。

 球速を抑えても相手が振り遅れるようになった。球質も重く、この日は15個のフライアウトを奪った。制球も定まり、初戦石巻工(宮城)戦の7回126球で5四球が、9回98球で1四球まで激減した。

 前エース秋田からグラブとスパイク、そして背番号1を譲り受け「秋田さんに教えてもらったことを生かし、エースの自覚を持ちたい」と言った。仲井監督は「金沢の成長は収穫。東北にはいいチームがある。神宮大会でもう1枠持ってきたい」と優勝を目標に掲げた。8戦75得点で頂点に立った「猛打の光星」に金沢というピースがはまれば-。夏に逃した全国制覇も見えてくる。【木下淳】

 ◆金沢湧紀(かなざわ・ゆうき)1994年(平6)4月15日、青森県八戸市生まれ。桔梗野小5年の時に桔梗野バイオレッツで野球を始める。市川中(軟式)2年で投手に転向するまで外野手。中学時代の最高成績は県大会ベスト4。今年の春夏の甲子園ではボールボーイを務めた。家族は両親、兄、妹。右投げ右打ち。175センチ。血液型O。