<春季高校野球東北大会:酒田南4-3大曲工>◇7日◇1回戦◇青森県総合運動公園野球場

 酒田南(山形)のプロ注目捕手・下妻貴寛主将(3年)が、強肩を見せつけた。大曲工(秋田)に1点差に迫られた9回2死一塁、カウント1-1から走者がスタートを切る。「打者に集中していた」と言うが、二塁へ矢のような送球で余裕のタッチアウト。「盗塁を刺すのが一番気持ちいい」と拳を握った。

 魅力は遠投100メートルの肩だけではない。板垣瑞希投手(3年)の覚えたてのフォークをすべて止めた。打撃では5回に犠飛を放ち、4番の仕事を果たした。ネット裏にはプロ12球団20人以上のスカウトが集結。捕手出身のヤクルト八重樫スカウトは「肩が強いし、視野も広い。いい捕手になる素質を持っている」と高く評価する。

 前日6日の夜はAKB総選挙には目もくれず、TV放送されたあこがれの巨人阿部のプレーに夢中だった。1年春からレギュラーをつかんだ186センチ、85キロの大型捕手は「打って守れる阿部選手のようになりたい」と目を輝かせていた。【鹿野雄太】