<高校野球静岡大会:小笠5-0浜松城北工>◇7日◇1回戦◇浜松

 夏の甲子園ロードが3会場の開幕戦から始まった。一番最初に勝利を手にしたのは創立100周年の小笠だった。試合時間1時間31分で、浜松城北工を破った。2年生左腕の松村涼がチェンジアップを駆使して散発4安打、99球で大会初完封まで記録した。秋に控える祝賀行事を前に、野球部が電光石火の祝砲を上げた。

 2年生エースの松村が完封一番乗りだ。開幕戦のマウンドに上がった瞬間、緊張ではなく「気持ちがいい」と感じた強心臓。投球練習で直球が走り「いける」と手応えをつかんでいた。初回から制球が安定し、ストライク先行で追い込むと勝負球のチェンジアップでタイミングを外す。4連続を含む7つの三振を奪い、当てられても詰まらせた。打線も2回にスクイズ、3回、8回は適時打で援護した。秋春の県大会を逃した小笠が主導権を握り続けて、春に県大会出場の浜松城北工を圧倒。他球場に先駆け1番星を手にした。

 6月は制球難で苦しんでいた。フォームをゆったりさせることで力みを軽減させ球が伸びるようになった。「いつも四球から崩れるけど、今日は四球がなかった。早い段階でカウントを稼いで打たせて取ることができた。やっとしっくりきた」。昨秋の対浜松南戦(5-0)以来の完封勝利。打っても3打数2安打で、出塁した2回ともホームに戻り「打つ方は、振ったら当たった」と笑った。

 学校は創立100周年で、この日もバス14台の応援団が駆けつけた。松村は名前の「涼」の通り、クールで表情を表に出さない。しかし「夏の完封は初めてで正直うれしい。こんなたくさんの人に見てもらえて、実は心の中では燃えていた。メモリアルイヤーの開幕戦で勝てて、1つでも多く勝って学校の歴史に残せられれば」と静かに熱い胸の内を語った。

 赤堀真也監督(44)は、大応援団に「うちの学校はお祭り好きなんです」と照れ笑いし「継投も考えたが、球数が少なかったので続投させた。三振も取ってくれて、予想以上によく投げてくれた」とエースを褒めた。次戦は浜松市立と浜松大平台の勝者と対戦する。クールなエースの夏祭りは、涼しげにまだ続く。【岩田千代巳】