<高校野球静岡大会:三島南4-0沼津城北>◇7日◇1回戦◇愛鷹

 東部は三島南の背番号10、2年生左腕の井上晃一が7回を4安打無失点に抑えるなど沼津城北に快勝した。

 愛鷹球場の一塁側を埋めた三島南応援団が声を合わせる「サンナン、サンナン!!」のコールが鳴りやまない。どちらも昨秋からの公式戦は未勝利。互角の一戦とみられていた。三島南が1回表に3四球から満塁とすると、4番池谷祐輔主将(3年)への水口和典監督(51)の指示は併殺覚悟で「ゴロを打て」。昨年夏、好機で得点できずリズムに乗れなかった悪夢をぬぐうべく、1点が欲しかった。指示通り、池谷は遊ゴロ。併殺崩れの1点かと思われたが、相手守備の乱れで2点目が転がり込んできた。

 吹っ切れた池谷は3回2死三塁では左前に運び、ベンチを指さし喜んだ。終了後にはうれし涙までこぼした一打は、昨秋以来チームの公式戦初タイムリー。3年ぶり夏の勝利に「入学して初の校歌。格別です」と感激した。

 先発の井上は左の横手投げで、救援が主な役割だった。直前の練習試合での好投と左打者5人が並ぶ相手打線への対策で抜てきされた。すると、横に大きく曲がるスローカーブが面白いように決まった。8回にエース宮沢文平(3年)と交代したが「調子が悪いにしてはできすぎでした」と笑った。監督の狙いに応え、きっかけをつかんだ選手たち。快進撃の予感だ。【久我悟、渡辺大樹】