<高校野球静岡大会:伊東商6-5伊東>◇14日◇1回戦◇愛鷹

 プロ注目右腕が夏の「伊東ダービー」にハラハラドキドキだ。伊東商が伊東を破った。竹安大知投手(3年)が初回と4回に失点したが、5回以降は変化球を織り交ぜた投球で調子を上げると、自ら3打点を挙げるなど逆転した。2回戦はこの日最終回に大逆転した静岡市商と戦う。

 竹安はこの試合の初球、伊東・前島賢人(3年)に長打を浴び、なおも連続四球で無死満塁。「気持ちが高ぶって球が高く浮いてしまった」。丸山康平捕手(3年)の打撃妨害で先制点を許す。このチームで3戦3勝の相手に自分もチームも浮足立つと、増井裕哉監督(23)から「2失点ならOK」と声をかけられ楽になれた。4回は詰まらせた打球が内野安打になるなど3点を追加された。だが、5回以降は変化球中心の配球でリズムを取り戻し踏ん張った。相手が竹安対策として150キロの速球を打つ練習をしていることを聞いており「速さだけでは通用しない。変化球が合っていないと思ったので、途中から変化球を交ぜた。うまくカウントを稼げた」。流れを引き寄せると、勝ち越し2点適時打を含む3打点で逆転した。

 二松学舎大付(東東京)から一昨年8月に故郷の伊東商に転入。1年間、出場資格がなかったため、最初で最後の静岡の夏だ。この日の投球を「制球が甘くて30点。うちは点を取れるチームじゃないのに、自分が悪い中でも勝てたのは大きい」と安心した。周囲から注目される重圧を支えてくれたのはチームメートだ。「1秒でも長く、今の仲間と試合をやりたい」。夏の思い出がまだ続く。【岩田千代巳】