<高校野球栃木大会:作新学院16-0益子芳星>◇22日◇3回戦◇宇都宮清原球場

 思いを込めた打球は右翼手の頭上を越えた。チームの4番を務める作新学院・篠原優太外野手(3年)が2打数2安打4打点の大活躍で勝利に貢献した。

 1回に先制し、4点リードの2回裏2死一、三塁。低めの変化球を振り抜いた打球は右翼手の頭上を越える2点適時打。「ランナーをかえす気持ちで振った」。4回にも2死一、三塁の好機で打席が回ると、低めの直球をたたき返した。右中間真っ二つの2点適時打。「4番としての仕事が出来て良かった」と頼もしい4番の復活だった。

 1年の秋の県大会から4番を任されたが、1度も甲子園の打席に立てず、苦しんでいた。昨夏の甲子園は腰椎分離症になりメンバー外。今春センバツも直前3月に打球が右の鎖骨を直撃して骨折。ベンチ入りするも打席には立てなかった。「2回連続でこんな結果になるとは…みんなの活躍が悔しかった」とけがに泣かされた。

 故障続きだったが、前向きに取り組んだ。「落ち込んでも仕方ない。けがが治ったらすぐチームにとけ込めるように」。風呂上がりには毎日30分以上のストレッチなどでケアを欠かさなかった。負傷箇所に負担がかからない部分のトレーニングを行う工夫をした。

 甲子園まであと4勝と、ここからが正念場になる。「1発は狙わず、チーム打撃をしていきたい」。頼もしい4番の活躍が重要となってくる。篠原の夏はこれから。「甲子園に出る」と宣言した表情は自信に満ちている。【細江純平】

 ◆篠原優太(しのはら・ゆうた)1994年(平6)9月13日、栃木・宇都宮市生まれ。小3から桜学童で野球を始める。中学時代は栃木選抜に選ばれ4番を務める。高校から硬式を始める。家族は両親、弟。172センチ、81キロ。左投げ左打ち。