<高校野球東東京大会:成立学園4-3国士舘>◇29日◇決勝◇神宮球場

 同点に追いつかれた直後の9回2死二塁。成立学園・見目雅哉主将(3年)が甘く入った直球を振り抜いた。前進守備の右中間を破る二塁打。今大会3度目のサヨナラで春夏通じ初甲子園を決めた。「最高だあ」。自然と涙が出た。二塁塁上で完投したエース谷岡竜平(2年)と抱き合い、歓喜の輪が広がった。

 無欲でつかんだ甲子園だ。大会前、チームの目標は過去最高の4強超えだった。そもそも、サッカーJ2千葉元社長の福田浩平校長(75)が、97年に埼玉県久喜市に甲子園を模した天然芝グラウンドをつくった理由は「甲子園に行けなくてもいい。いい環境で野球をやれて、野球が嫌いにならなければ」と思ったからだ。環境整備が、結果的に強化につながった。

 04年からチームを率いる菅沢剛監督(45)は、岩倉で選手として84年センバツ優勝の経験がある。それでも「甲子園に行くだけが野球じゃない」と言う。自由な雰囲気が魅力で同校に進学してきた谷岡は、先輩も後輩も仲間と呼ぶ。見目主将とは互いに尊敬する間柄で、この日の朝も寮近くの神社で仲良く必勝祈願をした。

 さあ甲子園だ。谷岡は「まだ夢みたいだけど、全力で気持ちで投げたい」と、聖地のマウンドに思いをはせていた。【茶木哲】

 ◆成立学園

 1925年(大14)創立の私立校。野球部も同年に創部された。部員数は53人。生徒数は968人(うち女子428人)春夏通じて甲子園初出場。主なOBは、サッカーのロンドン五輪代表・大津祐樹(ボルシアMG)。所在地は北区東十条6の9の13。福田浩平校長。◆Vへの足跡◆3回戦2-1紅葉川4回戦6-5関東一5回戦3-2広尾準々決勝8-6二松学舎大付準決勝5-1岩倉決勝4-3国士舘