<高校野球鹿児島大会:鹿児島情報5-4神村学園>◇19日◇準々決勝◇県立鴨池

 鹿児島大会は鹿児島情報が強豪・神村学園を逆転で破って初のベスト4進出を決めた。プロ注目の二木康太投手(3年)が最後まで粘りの投球を見せて完投して勝利に導き、神村学園の夏3連覇を打ち砕いた。

 マウンドではポーカーフェースを貫くエースが絶叫した。鹿児島情報の二木は、1点リードした9回2死一、三塁から最後の打者・山本から直球で空振りの三振を奪うと右のこぶしを突き上げた。

 「攻める気持ちで投げました。(ガッツポーズは)思わず出てしまいました」

 相手は夏の甲子園に2年連続で出場している神村学園だ。2年前の1年生大会で1-2で敗れている。そのときも二木はマウンドにいた。「あのときの悔しさを忘れずにいこうと言ってきた。やっと勝てました」と主将の下之薗誠也内野手(3年)はチーム全体の思いを語る。公式戦では初めて勝って笑みが絶えない。

 1回は守備の乱れで3失点。それでも二木は我慢の投球を見せる。9回6安打4失点(自責1)。スライダー、フォークなどを低めに集めた。「点数は取られても最終的にチームが勝っていればいい。夏はそう思って投げている」。精神面の成長を実戦で表現した。

 最速142キロ右腕は球速にこだわらない。憧れは中日吉見だ。「試合を作るのがうまいし制球がいい。そんな投手になりたい」。VTRで投球を研究して夏につなげてきた。

 この日もロッテなど数球団のスカウトが視察に訪れた。まずは夢の甲子園初出場を優先する。「胸を張って戦おうと思っている。自分たちで学校の歴史をつくろうと思っている」。今は全国に鹿児島情報の名前をとどろかせることを思い描いている。【中牟田康】

 ◆二木康太(ふたき・こうた)1995年(平7)8月1日、鹿児島県霧島市生まれ。小学校時代は青葉小少年団(軟式)に所属。国分中(軟式)時代も投手だった。「当時は120キロぐらいしか出なかったと思う」と本人談。鹿児島情報入学後に成長して1年秋から背番号1。187センチ、73キロ。右投げ右打ち。