<全国高校野球選手権:組み合わせ抽選会>◇5日◇大阪フェスティバルホール

 瀬戸内(広島)は第6日に明徳義塾(高知)と対戦。県大会決勝で引き分け再試合の激戦の末、13年ぶりの甲子園を決めたが、その達成感などで一時、チームが緩んだ。大会前にカツを入れ直し、エース山岡泰輔投手(3年)を軸とした“瀬戸内野球”を聖地で披露する。

 相手にとって不足はない。強豪・明徳義塾との対戦が決まり、主将の北吉弘樹内野手(3年)は「甲子園によく出ている名門という印象です。名門と対戦できるのはうれしいし、光栄です」と目を輝かせた。

 小川成海監督(63)は「(相手の馬淵監督は)すごい監督だし、しぶとくてソツがないイメージ」と警戒する。夏の甲子園の初戦は14戦14勝と負け知らずなのも知っている。相手の詳しい分析はこれからだが、すでに選手たちは独自に情報を入手していた。

 抽選会場で隣り合わせになった玉野光南(岡山)が、明徳義塾と対戦経験があり、さっそく“取材”した。エース山岡は「(県大会)決勝と同じような展開になると思う。エースで4番の岸に打たせると乗ってくるので、打たせないこと。前に走者を置かないことですね」と早くも試合を思い描く。北吉も「甲子園経験者が7人。エースは145キロを投げて、2番手にも力のある左投手がいるみたいですね」と情報をもとに攻略策を練るつもりだ。

 引き分け再試合での激闘の末に甲子園キップを勝ち取った。だが、その達成感と、一躍注目を浴びて取材が殺到したことで、チームのムードが緩んだ。練習でノックしても、エラーする選手が続出。小川監督は「普通なら捕れるはずの打球。気持ちを入れてこい!」としかった。甲子園入りする直前、選手たちは「気持ちをあらためて取り組もう」と話し合い、1球1球に集中するという原点に戻った。

 初戦が第6日第4試合というのは、小川監督も「ちょっと期間が長い」と、心身のコンディションの維持に頭を悩ませる。だが、北吉は「気を抜かずに、練習時間も短いので、自主練習とかで緩まないようにします」と反省を生かす。山岡を中心とした堅い守り、ワンチャンスをモノにする確実な攻撃。強豪相手でも“瀬戸内野球”で思い切りぶつかる。【高垣誠】