<高校野球南北海道大会:恵庭南4-3札幌光星>◇6日◇札幌地区Cブロック代表決定戦◇札幌円山

 恵庭南が延長10回の末、札幌光星を下し、立ちはだかっていた「代決」の壁をぶち破った。勝利の瞬間、主将の川村翔斗投手(3年)が跳び上がった。78年夏に初出場も翌79年を皮切りに過去6度代表決定戦で敗退。先輩たちが、09年には兄が、昨夏は自分たちも…。悔しさを晴らした喜びをマウンドで表現した。

 川村のこの一戦に懸ける思いはただならぬものがあった。「恵庭南の負の連鎖を断ち切ってやろうと、何とかしないといけないと思いました」。1-1の9回表、1点を勝ち越したがその裏同点にされた。それでもあきらめなかった。延長10回に榊涼馬遊撃手(3年)と川村の連続適時二塁打で2点を加え、その裏の反撃を1点に抑えた。夏は2回戦からの3試合25イニングを1人で投げきった。昨年4月に就任した平山良行監督(39)は「川村に尽きます。良く投げました」と主将として、エースとして4番打者としてフル回転した労をねぎらった。

 苫小牧沼ノ端中では全国中学に捕手として出場した。バッテリーで恵庭南に入学したが投手は昨夏に退部。投手陣が手薄になったこともあり昨年12月に投手に転向した。「捕手も好きでしたがチームのために決断しました」と話す。

 勝負の夏に備え新たにパームボールも習得した。この日の札幌光星戦では効果的に決まった。好きな言葉「なんとかなる」を帽子のつばに書き、中盤以降のピンチをしのいだ。「投げて勝つのは楽しい。でも全道はチームで打ち勝つ野球をやりたい」。待ち望んだ円山に勇躍乗り込む。【中尾猛】