<明治神宮大会:東海大四9-1宇部鴻城>◇14日◇高校の部1回戦◇神宮

 14年ぶり出場の東海大四(北海道)が、中国大会覇者の宇部鴻城(山口)を7回コールドで下し、37年ぶりに初戦を突破した。今夏の甲子園でもベンチ入りしたエース大沢志意也(2年)が7回を6安打1失点(自責0)。中盤以降は味方の大量援護にも助けられ、無四球で102球を投げきった。16日の準々決勝では、関東地区代表の浦和学院(埼玉)と激突。初の4強入りを目指す。

 最後まで、自然体を貫いた。1人でマウンドを守った東海大四のエース大沢は「(内容は)90点ぐらいですかね」と、屈託ない笑顔で全国デビュー戦を振り返った。「緊張はなかった。3点以内に抑えようと考えていたので、1失点(自責0)というのは良かったですね」。9日東海大望洋(千葉)との練習試合で高校初被弾を浴びた経験を、無駄にしなかった。毎回のように走者を背負いながらも、低めへの制球に細心の注意を払い、テンポよく無四球で打たせて取った。4回2/3で6四死球と制球を乱して自滅した相手先発とは、対照的だった。

 今夏の甲子園、計測不能の超スローカーブで話題を集めた西嶋亮太投手(3年)から、エースナンバーを受け継いだ。「僕には、あんな球を投げる度胸はない」と謙遜も、「西嶋さんが使っていて有効だなと思って投げ始めた」というチェンジアップを織り交ぜ、淡々とアウトを重ねた。「一番学んだことは、コントロールが大切だということ」。目で耳で体で、甲子園で1失点完投勝利を挙げた先輩の姿から、盗めるものを盗もうと努力した。

 真っすぐの最速は139キロほど。制球重視のスタイルは、前エースと共通する。マウンドではひょうひょうと投げる姿が印象的だが、「何かがないと落ち着いて寝られない」と、8日に関東入り後、真っ先に東京ディズニーリゾート近くの土産店で「アナと雪の女王」に登場する陽気な雪だるま「オラフ」のぬいぐるみを購入するなど、かわいらしい一面も備えた17歳。16日準々決勝で、初の4強入りを懸け、関東王者の浦和学院に挑む。【中島宙恵】