<センバツ高校野球:沖縄尚学1-0聖光学院>◇26日◇2回戦

 沖縄尚学・東浜巨(ひがしはま・なお)投手(3年)が、スミ1完封劇で全国デビューを飾った。しなやかなフォームから多彩な変化球を繰り出し、7回と9回に自己最速の147キロをマーク。目玉選手不在の今センバツに、待望のスター候補生が誕生した。

 9回2死までくると、沖縄尚学のエース東浜が再び力を入れた。4球目で今大会最速、自己最速の147キロをマーク。結局ボールとなり四球で出したが、最後の打者も141キロの速球で遊飛に打ちとった。「最後は自分の自信のある球で決めたかったんです」と笑みをみせた。

 大会屈指の右腕は甲子園の初マウンドで実力を披露した。初回にいきなり145キロをマーク。速球とツーシームで打たせて取る投球を意識した。5回の満塁、6回の1死一、三塁のピンチも味方の好守にも助けられ無失点。球威は最後まで落ちることなく、7回に今大会最速147キロを計測し、最終回まで140キロ台の速球を投げ続けた。「最初は緊張したけど、後半は楽しんで投げられました」。余力を十分残した余裕の投球だった。

 1-0の完封勝利は9年前に優勝した比嘉公也監督(26)と同じスタートだ。東浜が「運命みたいなものを感じました」と言えば、比嘉監督も「運命的なものを感じますね」と2人の息はぴったり。寮には当時のビデオや雑誌が置いてある。東浜は当時の資料を何度も見て頭に焼き付けていた。「ビデオで見た監督はすごく頼もしかった。自分は、まだまだ及ばないなと思います」と東浜にとって比嘉監督は目標の存在。この日もベンチで「自分の力を出せば勝てるから」と心強い言葉をかけられた。

 同じスタートを切った2人の目標は同じ。東浜は「目標は全国制覇です」ときっぱり。比嘉監督は「同じ道を歩んで行けたらなと思っています」。9年ぶりの優勝という夢に向かって2人が歩み始めた。【前田泰子】