<全国高校野球選手権:青森山田4-0本庄一>◇11日◇2回戦

 初陣校では唯一の生き残り本庄一(北埼玉)が姿を消した。「負けた、悔しい」。ブラジル人留学生の奥田ペドロ内野手(2年)がこう言いながら涙を流した。1回戦でサヨナラを決めた男が、この日は投手の足を引っ張ってしまった。6回に遊撃後方への飛球を落球した(記録は安打)。これが決勝の1点を与えた。奥田は「ボール見えなくて落とした。普通のフライ、悔しい」。ブラジルで病気療養中の母ローザさん(55)に前夜「勝ちます」と電話したものの、約束は果たせなかった。

 ヒジ痛を押して最終回に登板した伊藤ディエゴ投手(2年)と一緒に来日したのが昨年3月。ブラジルの中学時代にそれぞれ留年、1年間の休学を経験し、来年は19歳となる。本来なら参加資格はないものの、この日の審議委員会で「ブラジルとは学制が違うし、遅れも考慮して」との理由で参加を認めるとした。2人は悔いを残して去る甲子園に「もう1回来たい」と口をそろえた。