<高校野球神奈川大会>◇28日◇準決勝

 桐蔭学園は田畑秀也内野手(3年)のバットが大爆発して、横浜創学館を9-7で破り10年ぶりの夏甲子園に王手をかけた。1番打者ながら、2打席連続本塁打して逆転勝ちを導いた。まずは、3点を追う6回だった。代打の渋谷健朗(たけお)捕手(2年)が右前打して1点を返し、なおも続いた1死一、三塁。初球の内角直球を強振すると、打球は右中間スタンドの上段で弾んでいた。

 「打った瞬間に完全にいったなと思った。1番バッターとして出塁することを大切にしている。いつも通りのスイングをしたら結果が出た」。田畑は納得顔で価値ある1発を振り返った。8回にも2打席連続となるダメ押しのソロを放ち、勝負を決定づけた。高校通算14本ながら、今大会で4本。最後の夏に大ブレークしている。打率も23打数14安打の6割8厘と勢いが止まらない。

 田畑は静岡県伊豆市の出身で、この日のスタンドには実家から父裕さん(43)が応援に駆けつけていた。「気持ちが乗ってるんでしょうね。いいところで打ってよかった」。御殿場西出身の元球児でもある裕さんは、いつもホームランボールを送ってくる愛息の活躍に喜びを隠せなかった。

 「あと1試合、全力を尽くしてチームのために頑張ります」と田畑。50メートル5秒8、遠投110メートル。俊足・強肩の1番打者が、勢いの止まらないバットで甲子園へ導こうとしている。