<高校野球福岡大会>◇28日◇決勝

 九州国際大付が筑陽学園を9-0で破り、27年ぶり3度目の夏代表を手にした。河野元貴(3年)の2戦連発など、4試合連続の“マルチ弾”で圧倒した。

 「優勝候補」の看板に偽りはなかった。九州国際大付が2発を含む11安打9点と打力で圧倒し、27年ぶりの甲子園出場を決めた。「みんなが自分の役割を果たしてくれて、素晴らしいゲームでした」。若生正広監督(58)はベストゲームに目を細めた。

 前半で決めた。2回、河野が2戦連続本塁打を右翼場外に放って先制。4回には2死一塁から7番天野寛(3年)が右翼へ今大会第3号だ。「先制点が欲しかった。僕はホームラン打者じゃないけどやっぱりうれしい」と河野。チームは4試合連続で2本以上の本塁打を記録し、大会7試合で12本塁打。「つなぐ野球が持ち味なので本塁打はあまり評価していない」と若生監督は言うが、とにかく強烈な攻撃力だ。

 タレントぞろいでV候補だった昨夏は8強止まりだったが、新チーム結成後は秋春県大会連覇、春の九州大会優勝と“県内敵なし”で駆け抜けた。「個人の力に頼ってはだめだと思った。僕たちは全員でつなぐ野球を目指しました」と小林知弘主将(3年)。手本は昨夏全国制覇した大阪桐蔭。ひたすらチームワークを重視してきた。

 若生監督は就任4年目で初の甲子園切符をつかんだ。「九州に来てよかった。ようやく九州男児になれたかな」と喜んだ。07年には足の感覚がなくなる「胸椎(きょうつい)黄色靱帯(じんたい)骨化症」で手術を受け、現在もつえをつくなど、道は平たんではなかった。東北でダルビッシュを擁して出場した04年以来の晴れ舞台へ。「完成度が高い」というチームを率いて乗り込む。【前田泰子】

 ◆九州国際大付男子部

 1958年(昭33)私立八幡大付属として男子部が開校した。女子部は63年開校。89年に現校名となる。普通科のみで生徒数は785人。野球部は58年創部で部員数は72人。春は1度出場。OBにオリックス日高剛、加藤大輔ら。バドミントンの潮田玲子・池田信太郎組も卒業生。所在地は福岡県北九州市八幡東区枝光5の9の1。伊東正和校長。