<高校野球大分大会>◇28日◇決勝

 明豊が昨年優勝の日田林工を4-1で破った。投打にプロが注目する今宮健太(3年)が6安打1失点完投。

 土壇場で身長171センチの「小さな怪物」が闘志をむき出しにした。9回無死二、三塁。明豊・今宮は打席に立った“ライバル”をにらみつけた。

 「梛野(なぎの)は絶対抑えようと思った」。

 大平山少年野球部と明豊中で一緒に白球を追いかけた日田林工の2番梛野啓介(3年)を、こん身の内角直球で見逃し三振に打ち取った。残る2人は内野ゴロで退け、試合を締めくくった。

 準々決勝の楊志館戦に続く先発マウンドで、最速146キロを記録した速球にスライダーとツーシームを交えてテンポ良く投げ抜いた。6安打を浴びたが、要所を締め6奪三振の1失点完投。今夏初戦の日田戦で1試合3発を放つなど、高校通算62本塁打。しかも走って俊足…。投・打・走・守とすべてのセンスに恵まれた“野球の申し子”ぶりを見せつけた。優勝にも「うれしいですが、通過点。大分代表として頑張ります」と謙遜(けんそん)気味だった。

 パワーの源はライバルの存在だ。チーム内では昨秋、野口昂平(3年)にエースナンバーを奪われた。今春のセンバツでは花巻東の超高校級サウスポー菊池雄星(3年)に力負けし、上には上がいることを思い知らされた。そんなライバルの存在を糧に、努力を重ねた結果、ズボンのサイズがMからLに変わるほど下半身ががっしり、強くなった。体は小さくても、確実にグレードアップした明豊の“顔”から目が離せない。【菊川光一】

 ◆明豊

 99年に別府大付と明星の学校法人合併で発足した男女共学の私立校。普通科、看護科に生徒509人(女子277人)が学ぶ。野球部創部は別府大付時の52年。部員は82人。甲子園は夏は2回、春2回出場。主なOBはマリナーズ城島健司、元日本ハム石本努、元広島田中敬人ら。所在地は大分県別府市野口原3088。白岩弘道校長。