<高校野球東東京大会>◇29日◇決勝

 東東京では帝京が雪谷相手に、決勝では戦後最多となる24点を挙げ、24-1と大勝。2年ぶり11回目の出場を決めた。

 笑顔の帝京ナインが一斉にマウンドを目指して駆けだした。エースの平原庸多(3年)が雪谷最後の打者から三振を奪った直後だ。両手を突きあげ「やったあー、甲子園だあ」と雄たけびをあげる。全員安打全員得点の25安打24得点。3回に点が入っていれば、毎回得点もつく猛攻でつかんだ甲子園だった。

 帝京ナインの猛烈な勢いは、プレーボール直後の初回から始まった。先頭金子竜也(3年)の中前打がオープニングだ。2四球、1犠打をはさみ4安打で一気に6点を奪った。前田三夫監督(60)がいきなりの猛攻を振り返る。「ナビルまでが打つとはね」。だれより、8番有賀ナビル外野手(3年)の爆発に驚いた。

 雪谷の先発が左腕と読んで起用した右打者は、1回に中前打して2打点を挙げると、止まらなくなった。4回表には2点本塁打、6回表に適時二塁打、8回表に犠飛。4打数4安打の6打点を挙げていた。ガーナ人の父セイドゥさん(45)と母路代さん(48)の長男で、サッカー選手だった父の遺伝子を受け継ぎ、身体能力は高い。春の都大会ではレギュラーだったが、その後調子を落とし、今大会は背番号17の控えとなっていた。やっともらったチャンスに「打てて良かった」と喜びを隠せなかった。

 止まらない打線は大差をつけても、さらに小技で追加点を狙う。9点目と20点目はスクイズで挙げた。前田監督は「何が起こるか分かりません。先のことを考えて雑な野球をしたくなかった」と手綱を緩めることはなかった。佐藤秀栄主将(3年)は「今年のチームはどろくさく、単打狙いでつなぐ野球です」と表現した。

 この日見せつけた猛打にエース平原ら140キロ超えの5投手もあわせ持つ。投打に充実した強豪が、2年ぶりの甲子園に出陣する。佐藤主将は「甲子園でもこの野球を貫きます」と宣言した。

 ◆帝京

 1943年(昭18)創立の私立校。生徒数967人(うち女子377人)の男女共学。野球部は49年創部。部員数46人。甲子園には春13度、夏は2年ぶり11度目の出場。初は92年、夏は89、95年に全国優勝。主なOBは森本稀哲(日本ハム)ら。所在地は東京都板橋区稲荷台27の1。奥村栄治校長。