<高校野球兵庫大会>◇29日◇準決勝

 「70年ぶり」に王手をかけた。古豪の関西学院が「完封リレー」2-0で滝川二を下し、9年ぶりの決勝進出を果たした。初回に奪った2点を先発の新川絋耶(ひろや)投手(3年)が7回、8回から山崎裕貴捕手(3年)が登板して無失点。広岡正信監督(55)は「少ないチャンスをものにして勝てた。『おしゃれ』な野球ができたのが勝因かも」と満面の笑みを浮かべた。

 戦前は全国大会出場の常連校も、戦後は98年センバツに出場しただけだ。それでも「関学で甲子園を目指す」という選手が集まる。エースの新川は、小田南中時代に宝塚ボーイズに所属しながら、1日3時間の勉強を欠かさなかった。模試の偏差値は「平均67」だったという。「そんなに勉強しなかったけど、効率が良かったのかも」と笑う。

 「戦後初の夏」を目指し、冬場は学校近くの甲山で走り込んだ。毎日約1時間以上、山道をひたすら走り、足腰を鍛えた。「冬場にみんなの馬力がついた」と山崎裕捕手は胸を張った。

 決勝の相手、育英には9年前に夢を砕かれた。決勝で0-11と大敗。その借りを返すチャンスも同時に訪れた。「実力は向こうが上。でも、勢いはうちにある」と広岡監督はきっぱり。新川も「ここまできたら勝てそうな気がする」と自信たっぷりに言った。【奈島宏樹】