<高校野球山口大会>◇30日◇決勝

 21世紀枠で昨年のセンバツに出場した華陵が岩国商を12-4で破り、初の夏の甲子園出場を決めた。

 08年のセンバツ出場メンバー9人を擁す華陵が岩国商を投打で圧倒、夏の甲子園切符を初めてつかんだ。準決勝までの4試合でチーム打率3割6分5厘の強力打線が初回から火を吹いた。6者連続安打など打者10人の猛攻で一挙6点を入れ主導権を握ると、7回までに6点を追加し過去夏3回出場の強敵をねじ伏せた。準々決勝から3試合連続2ケタ安打の大勝に大浪定之監督(49)は「持ち味は攻撃力。甲子園でも積極的な攻撃をしてリズム良く守りたい」と声を弾ませた。

 投げてもセンバツを経験し成長したエース安達央貴(3年)が力投した。「緊張し集中力を欠いたのが反省」と1、9回の計4失点を悔やんだが、2~8回までは無安打投球。182センチの長身から投げ下ろす140キロ超の直球に変化球を交え翻弄(ほんろう)。2試合連続で完投勝利した。

 センバツの2戦目に大敗し「心技体」すべてを鍛え直した。栄養指導士による食事管理の徹底、メンタルトレーニングの専門家を招いての精神力強化に努めただけではない。練習で100メートルダッシュ50本や1日最低700スイングを消化。当時に比べ部員の筋力は平均30キロもアップしていた。

 部員の中には今夏、山口県を襲った集中豪雨災害で被害の大きかった防府市の出身者もいる。ナインは「プレーで勇気づけられれば」と奮闘した。母親がタオルを集め災害地に届けたという同市出身の森川宇久主将(3年)は「全力プレーが皆さんの励みになると思う。頑張りたい」と甲子園での活躍を誓った。【菊川光一】

 ◆華陵

 1987年(昭62)創立。男女共学の県立校。普通科と英語科があり生徒数は360人(女子245人)。野球部は88年創部。部員57人。昨年のセンバツに21世紀枠で出場。女子部員の高松香奈子外野手(現在は自衛隊)でも話題となった。夏は初。所在地は山口県下松市大字末武上217の2。伊藤薫校長。