<高校野球愛知大会>◇30日◇決勝

 創部61年目で初めて決勝に進んだ刈谷が、さわやかに散った。ノーシードの公立進学校・刈谷は0-5で中京大中京に敗れたが、史上最多10度の全国制覇を誇る名門に挑み、意地を示した。岡田泰次監督(32)は「本当に胸の張れるチームになった」と選手をねぎらった。

 エース早川人希(3年)が力投した。準決勝まで5試合連続コールド、2ケタ得点の相手打線に勇敢に立ち向かい、5失点と踏ん張り逆転を信じ完投。打線が沈黙し完封負けで夢はかなわなかったが「自分の投球はできた」と言った。

 進学校で練習は午後7時までと短い。「早弁」してわずか40分間の昼休みも汗を流し、練習量を確保してきた。昨夏の東愛知大会4強に続く、2年連続の進撃は、圧倒的に私学が強い愛知に新風を吹き込んだ。早川は薬学部への進学を希望している。「これからは野球より興味のある薬学です。明日から補習に出なきゃ。この夏の大会で粘りを身に着けたので、勉強にもつながる」と受験生の顔になった。