<高校野球大阪大会>◇30日◇準々決勝

 PL学園が史上7校目の夏の甲子園連覇を目指した大阪桐蔭に10-5と快勝した。

 卒業から23年たっても、清原和博の「PL魂」は後輩の中で生きていた。大阪桐蔭との大一番で試合の流れを決めたのは、清原先輩と同じ大阪・岸和田市で生まれ育った藤本吉紀(3年)だ。史上7校目の夏連覇を目指した相手に「大阪といえばPL!

 それを証明するんや」の思いをぶつけ、初回に先制2ラン。町は違うが清原家とは10分ほどの距離に住み、スーパースターはあこがれだった。

 春、秋の彼岸や盆のころ、墓参りに行くとプロの現役時代の清原先輩とばったり。そんな機会が何度もあった。声をかけたくても、真剣な表情で先祖の墓に手を合わせる顔を見て「悩んではることがあるんやろう」ととどまった。進路は迷わずPL学園。1年秋から主砲候補として、正左翼手でベンチ入りした。

 昨夏は1年下の勧野甲輝が4番左翼に座った。藤本は代打に回る機会が増えた。それでも河野有道監督(60)は当時から「藤本の打力を生かしてやりたい」と気にかけ続けた。この日は2安打4打点。藤本の1発で火が付いた打線は12安打で10点。昨夏の全国覇者を完ぺきに打ち砕いた。

 「この学年で甲子園に行けなければ当分行けないと思っています。うちにあこがれて来てくれた野手ですから」と河野監督は語った。エース中野隆之(3年)を左ひじ痛で欠き、主砲勧野を欠いても負けないPL学園。5年ぶりの夏まであと2勝だ。【堀まどか】