<全国高校野球選手権:甲子園練習>◇3日◇甲子園

 明桜(秋田)が甲子園練習を行った。13年ぶりの出場となる明桜ナインは感慨深げ。エース二木健(3年)も「夢の舞台」と連呼した。県大会で45回1/3を投げ防御率0・99の左腕は、秋田勢12年ぶりの初戦突破に向け、マウンドの感触を入念に確かめた。

 伝統の縦じまが13年ぶりに、夏の聖地で躍動した。明桜ナインの目が輝く。14球を投げたエース二木はマウンドの感触を「秋田の、こまちスタジアムと違って軟らかかった。緊張しました」と実感。田中亮監督(38)は「全体的に硬い。早くグラウンドに慣れさせないと」と話した。

 秋田とは違う高温多湿な気候に、二木は「さすがに暑いです」と苦笑い。ただ、グラウンドコートを着て汗を多く出しながら練習するなど、暑さ対策は秋田でも行ってきたこともあり「不安はない」と表情を引き締めた。

 「(前身の)秋田経法大付が甲子園に一番近く、縦じまに『経法大付』の文字が胸に躍るユニホームにあこがれてました」と二木。入学時には校名が「明桜」に変更されることが決まっていても、二木の縦じまへの思いは揺るがなかった。自宅は同じ秋田市内で通える距離だが、寮に入り野球に没頭。その努力が実り、あこがれの縦じまを聖地に導いた。

 野球道具にもこだわる。甲子園出場を勝ち取った二木のグラブは、ミズノ社のオーダーメード品で約5万円。夏の県大会前に購入した。「めったに物をねだらない子なんですけど」と母静子さん(54)。この日、そのグラブを甲子園の土にしっかり、なじませた。

 秋田勢の初戦11連敗中について「少しプレッシャーはあるけど、自分たちの野球ができれば勝てる」と二木。目標は初戦どころではなく「てっぺんです」と言い切った。【三須一紀】