<高校野球南北海道大会>◇22日◇準々決勝

 北照が函館工に7-0、札幌一が札幌白石に5-3、札幌日大が北海道栄に3-2でそれぞれ勝ち上がり、ベスト4が出そろった。

 北照の投打の両輪が、春夏連続甲子園への歩みを1つ進ませた。主将西田明央捕手(3年)が3ラン、エース又野知弥投手(3年)は7回4安打無失点。バッテリーがけん引し、3年連続のベスト4進出だ。2戦連続のコールド勝ちに、西田は「全員で戦えていると思う」と胸を張った。

 試合の流れを引き寄せたのが西田だった。5回だ。走者2人を置き、逆風を切り裂くように中堅バックスクリーンに運んで2戦連発。今春から3番定着も、この日は5番。1回戦で2発放った4番又野の敬遠も想定し、積極的な打順変更だった。「打順で気持ちは変わらない」。高校通算34本目のアーチにつなげた。

 主戦又野は制球に苦しみながら、この春から円山球場では計3試合18イニング無失点となった。「全然イメージ通りではないけど、野手を信じて打たせた」。函館市出身で、函館工には岩田ら中学時代からの顔見知りも多かったが、勝利に徹した。河上敬也監督(51)は「悪いなりに抑えるすべがある」と、バッテリーを評価した。

 2人ともプロが注目する最強バッテリーだ。寮では相部屋で、熱い西田にクールな又野と性格は対照的。又野が西田について「信頼が置けてミットをめがけて投げるだけ」と話せば、西田は「頼りになる、だんなさん」と笑った。今冬、発熱した西田の枕元に又野はそっと缶ジュースを置いた。きずなは深い。

 3安打の伊藤や脇役陣も調子を上げ、センバツ8強に続く春夏連続甲子園まで、壁はあと2つ。西田は「力を出し切った中で勝っていければ」と力を込めた。「ここからが大変だが、野球の神様に勝利の女神もついてきてくれれば」と河上監督。神様&女神じゃなくても、北照には又野&西田のコンビがいる。【村上秀明】