<高校野球愛知大会>◇24日◇4回戦

 ミラクル快進撃だ。星城が三好を4-3のサヨナラで破り、4試合連続サヨナラ勝ちとなった。07年に8強入りして以来のベスト16進出。腎臓の病気で開会式当日に入院し、大会出場がかなわなくなった川上雅史外野手(3年)に、また朗報を届けた。

 真っ青なレフト上空に星城の2番深谷太紀内野手(3年)の放った打球が、ぐんぐんと伸びて行った。この夏4度目のミラクルとなる「サヨナラ劇」だった。

 ドラマは、2-3の9回2死ランナーなしから始まった。代打の沖田直之捕手(3年)が、しぶとく三塁強襲安打で出塁すると、1番沢野純人内野手(3年)がつなぎ一、二塁。過去3戦いずれも延長サヨナラ勝ちという離れ業で勝ち進んできた。打席に入った深谷は「絶対なにかあると思って、悔いの残らないスイングを心がけた。抜けろと叫びながら走った」。迷わず振った初球が、人生初のサヨナラ打となった。

 試合前には勝利の女神が、粋なおぜん立てをしてくれていた。主将の池田大捕手(3年)がじゃんけんに負け、相手主将が先攻を選択。池田は「ひょっとして、きょうもサヨナラ?」と思ったと言う。相手の広瀬敬太投手(3年)の頭脳的な投球に6回から8回まではわずか1安打だったが、山元浩太監督(44)は7回から「4度目も(サヨナラを)やってみるか」とナインを鼓舞していた。

 特別な思いもある。開会式当日、中堅のレギュラーだった川上が腎臓の病気で急きょ入院し、出場できなくなった。初戦の前には川上の父親からの手紙が山元監督の元に届けられた。「みんなで頑張ってほしい」という内容に、ナインは泣いたという。勝ち進んでも、グラウンドに戻れる可能性は低い。「雅史のためにも、負けられない」。

 病床のチームメートとナインは、心を1つに初の甲子園に向け快進撃を続ける。【坂祐三】