<高校野球栃木大会>◇25日◇決勝

 ノーシード佐野日大が6-3で作新学院に勝利し、9年ぶりの夏切符をつかんだ。「代役4番」のひと振りが試合を決めた。同点の3回裏2死満塁、坂田諒外野手(3年)が夏の栃木大会決勝では史上初となる満塁本塁打を放った。「打った瞬間、上がりすぎたと思った。とにかく抜けて、落ちてくれって感じ。まさか入っちゃうとは」。ボール気味の外角高め直球を振り抜くと、打球は高々と上空に舞い上がり、右中間スタンドに飛び込んだ。

 試合前に、松本弘司監督(58)から4番を告げられた。4番を打つ秋沢悠人外野手(3年)が準決勝で左足首を打撲し、その代役だった。もともと握力70キロ超の怪力で、1年秋には4番を任された。しかし結果を出せず、今春から秋沢にその座を奪われ、5番に回っていた。「秋沢の分もやってやろうという気持ちでした」。高校通算19号は、公式戦初の価値ある一打。松本監督は「あの場面でよく打ってくれました」。復活した4番の1発を手放しで喜んでいた。