<全国高校野球選手権:土岐商15-2八頭>◇12日◇2回戦

 土岐商(岐阜)が春夏通じて初勝利を挙げた。先発全員安打全員得点で、八頭(鳥取)に大勝。センバツは同じ岐阜県勢の大垣日大が4強入り。夏は土岐商が甲子園を沸かせる。

 土岐商が16安打の猛攻で今大会最多15点を挙げ、初戦を飾った。1977年(昭52)夏の初出場から数え3度目の甲子園。実に33年かかって、ついに校歌を歌った。主将の4番矢田凌一内野手(3年)は「全員野球がやれて勝てたことがうれしい」。先発全員安打、先発全員得点での大勝。みんながヒーローだった。

 16本のうち長打は2本。小柄な選手たちが、地道に単打をつないだ。矢田凌主将は「ぼくたちは『コツコツ打線』。それが土岐商のスタイルです」と言った。先発9人の平均身長は167・6センチ。岐阜大会6試合で本塁打はゼロ。1発長打は期待できない。確かに飛距離は出ないが、鋭いスイングで相手投手に襲いかかった。

 体格に恵まれた強豪校の選手に対抗するため、バットを振り切る力を徹底して磨いてきた。冬場は95センチと長く、1・5キロとずっしり重いバットで素振りを続けた。並行して、打撃練習でも87センチの長尺バットを使用。「物干しざお」で振り込んだ成果が出た。

 甲子園入り後、選手は小柄な体格に、少し引け目を感じていた。だが、開幕後に観戦に訪れた際、身長163センチながら堂々としたマウンドさばきで初戦突破した前橋商(群馬)の野口亮太(3年)の好投を目にした。矢田凌は「あれで勇気をもらった。ボクたちも小さくてもやれるんだと、見せられた」と胸を張った。

 8強入りへ、16日の3回戦では大会注目の投手一二三慎太(3年)を擁す東海大相模(神奈川)とぶつかる。エース前田拓磨(3年)は「相模に勝って、岐阜にはボクたちもいるんだとアピールしたい」。初戦の大勝でも、まだまだアピール不足と感じている。頼もしいチビッコ軍団が、たくましく、大きく見えてきた。【八反誠】