今季のMLBはあらゆるメディア対応がZoomによるオンライン会見で行われ、取材をする側にとっては難しい状況だが、オンラインだからこそ思わぬ取材機会を得ることもある。

ロブ・マンフレッド・コミッショナー(61)が先日、ニューヨーク州ロングアイランドにあるホフストラ大学のビジネススクールで講演を行ったのだが、このご時世なのでオンラインによる開催となった。スポーツビジネス界を目指す学生向けのものだったが、その模様はYouTubeで誰でも視聴可能。コミッショナーが語るということで米野球記者が何人も視聴しており、筆者も視聴してみた。

講演はコミッショナーとヤンキースのランディ・レバイン球団社長(65)とのリモート対談形式で行われ、新型コロナウイルスの影響で60試合に短縮し特別ルールを導入して今季開催に至るまでの裏話や決定プロセスなどが語られた。例えば今季の特別ルールの中で「ダブルヘッダーの場合は2試合とも7回制」というのがある。これは短期間にタイトなスケジュールで試合をこなしていくため選手の負担を減らすことを目的としたものとばかり思っていたが、コミッショナーは「9回のダブルヘッダーにすると選手同士が長時間一緒にい過ぎる」と話していた。つまり、接触時間が長くなるほど感染リスクが高まると考え、そのリスクを回避するための時短策というわけだ。延長戦のタイブレークルールもやはりそうで、以前から時短策に熱心なコミッショナーだったが、今季に限って時短策イコール感染防止対策と考えているようだった。

ポストシーズンを16チームに拡大したことに関しては、コミッショナーは来季以降も継続する可能性を示唆した。「今後の展開の中で続けていきたいものの1つ」と話している。また今季導入した1次ラウンドの「ワイルドカードシリーズ」を3回戦にしたのは、コミッショナー自身の強い意向を反映したもので「放送権を持つテレビ局は、1試合で決着をつけるプレーオフ形式を望んでいたが、私は野球は1試合だけで決めるべきものではないと思っている」と持論を展開していた。

このように、講演はコミッショナーの真意が読み取れ、面白い内容だった。業界を目指す若者はどうするべきかといったことも語っていたので、スポーツビジネスに興味のある方には視聴をお勧めしたい。MLBでは12月に恒例のウインターミーティングが行われるが、オンライン開催となる可能性も高い。そうなれば現地に行かなくても参加できるので、そちらもトライしてはどうだろうか。【水次祥子】(ニッカンスポーツ・コム/MLBコラム「書かなかった取材ノート」)