今季は両リーグDH制やポストシーズン12チームへの拡大、延長タイブレークの復活などさまざまなルール変更がある。その中であまり話題にはなっていないものの、実は試合に大きな影響を及ぼしそうなものといえばマイナーへのオプション制限ではないだろうか。
メジャー40人枠に入っている選手はデビューから3年間は「オプションイヤー」になり、昨季までは1シーズンに何度メジャーとマイナーを行き来してもよかった。それが新労使協定で、1選手につき1シーズン5度までしかオプションを使えないことになった。それを超えればウエーバーにかけなければならず、選手を他球団に奪われる可能性が出る。
オプションによって何度もメジャーとマイナーを往復する選手は多い。シーズン序盤は多くはないかもしれないが、ヤンキースなどは後半戦にはほぼ毎日のように誰かが昇格、降格を繰り返している。ヤンキース球団広報のメーリングリストに入っていると降格と昇格のリリースが毎日来るので、何と忙しいことかと思うことがよくあった。しかし一番オプション使用が多いのはヤンキースではない。昨季、マイナーに4度以上オプションされた選手が最も多かったのはジャイアンツで9人。2位がアストロズとドジャースで8人、4位がブルワーズとフィリーズで7人だったという。
メジャーとマイナーの行き来を繰り返すのは主にブルペンだ。ほとんどの球団はリリーフ投手に3連投まではさせるが、それ以上はまずない。投げられない投手がいる日にマイナーからリリーフを1人上げる。オプションのある投手ならリリーフ同士を入れ替えるが、オプションのある先発投手を1人降格させてリリーフを増やすこともある。つまりオプションが、ブルペンをやりくりするための手段になってきたのだが、1シーズン1人5回までとなると、かなり計画的にブルペンを運用しなければならなくなる。夏場になって投手陣に疲労がたまり、厳しいペナント争いで主力リリーフに負担が増したらどうなるか。連投で投げられない投手のいる試合がこれまでより増え、ブルペン運用が直接的に勝敗に響くことが増えるかもしれない。
そんな状況を見越してか、ホワイトソックスはぜいたく過ぎると思えるくらいブルペンを強化した。昨季38セーブの右腕ヘンドリックス、通算372セーブの右腕キンブレルと抑え2枚を今季もキープ。セットアッパーは昨季21ホールドの左腕バマーがいる上に、昨季10セーブと11ホールドの右腕グレーブマンや平均球速が158キロの右の剛腕ケリーら実績あるリリーフを次々と獲得した。この強力ブルペンが、シーズンの大事な時期にどんなアドバンテージをもたらすのか。今季は各チームのブルペンのやりくりも注目して見てみたい。
【水次祥子】(ニッカンスポーツ・コム/MLBコラム「書かなかった取材ノート」)




