3日(日本時間4日)、アメリカンフットボール(NFL)のチャンピオンを決める試合「スーパーボウル」が、ジョージア州アトランタで行われた。視聴者数の減少が問題とされているが、依然としてNFL人気は高く、年間で最も盛り上がるスポーツイベントの1つだ。現地のスポーツファンのNFL熱を肌で感じる一方で、野球の国際大会への関心度については、極度の低さを痛感した。

試合は、ボストンの南西フォックスボロに本拠地を置くペイトリオッツが、ロサンゼルス・ラムズを13-3で下した。ロサンゼルス(LA)の地元TVでは約1週間前からラムズのニュースに連日、時間を割いた。試合当日となると、LA市内のあるスポーツバーは数百人のファンで満席。さらに長蛇の列ができ、試合開始5分前の時点で席の確保まで1~2時間待ちというほどの大盛況だった。

対照的に、一昨年3月に行われた野球の国際大会、ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)への熱は冷めていた。ドジャースタジアムでの決勝戦は米国-プエルトリコ。自国が初優勝をかけた一戦で、LA市内の同じスポーツバーにいた客は、わずか数人だった。スクリーンに映された試合を誰も見ていない。WBCの運営側は、前回大会で初めて観客動員100万人を突破し、大会が徐々に盛り上がりつつあることを強調していた。だが実際にはこれほど関心がないのかと、驚くしかなかった。

同スポーツバーの店員は「MLBは好きだけど、WBCは興味ないよ。(ドジャースのエース左腕)カーショーとか、超一流が参加しないしね」とバッサリ。同じ野球でも、WBCより日々のメジャーリーグの試合やワールドシリーズの方が盛り上がるようだ。

17年のWBC米国代表のアダム・ジョーンズ外野手は「3月、米国の多くの人はバスケットボールに熱中している。『マーチ・マッドネス』という大学バスケのトーナメントもあるからね」と答えた。時期的な問題も要因の1つだという。オランダ代表でヤンキースのディディ・グリゴリアス内野手は「WBCは、だいたい4年に1度だからね。チャンピオンになれるチャンスが毎年あるワールドシリーズで勝つことに集中したい」と話した。

米国のスポーツビジネスは、地域密着のフランチャイズシステムが強く浸透している。だから、MLBは毎年、特にプレーオフは各地で大いに盛り上がる。だが、その枠を超えるほどの熱が国際大会になると失われる。日米の国民スポーツでもある野球の、国際大会への関心がもっともっと上がって欲しい。そのためにはどうすればいいのか、メディアとしても考えさせられた、「スーパーボウル」の盛り上がりようだった。【MLB担当=斎藤庸裕】