ワイルドカードの勝者ワシントン・ナショナルズが快進撃を続けている。カージナルスとのリーグ優勝決定シリーズで3戦3勝。初のワールドシリーズ進出へ一気に王手をかけた。

地区シリーズでは、今季のナ・リーグ最高勝率を誇ったドジャースを下した。中継ぎで4試合登板した前田健太投手(31)は4回2/3を投げ無失点に抑えたが「ナショナルズが勝負強さで上回った」。悔しさをのぞかせ、ナ軍のチーム力を端的に表現した。

シーズン後半にかけて状態を上げ、プレーオフでも勢いが止まらない。マルティネス監督は「粘りがある。最後まで諦めない」と表現する。5月23日を終えた時点で19勝31敗。借金12は今季最大で、首位フィリーズと10ゲーム差をつけられていた。だが終わってみれば、ナ・リーグ東地区2位の93勝69敗、貯金24。ワイルドカード獲得をシーズン終盤の9月24日に決め、最後は8連勝で締めた。

ブルワーズとのワイルドカードゲームでは3点差からの逆転勝利。2点差で迎えた8回2死から4番ソトが逆転打を放った。地区シリーズではドジャースに先に王手をかけられながらも、2連勝で撃破。第5戦では2点を追う8回、ド軍のエース左腕カーショーから3番レンドン、4番ソトの連続本塁打で同点とし、延長10回に5番ケンドリックの満塁弾で試合を決めた。

カーショーの起用法を含め、ド軍ロバーツ監督の継投策は物議を醸したが、前田が振り返ったように、ナ軍の勝負強さはたたえる価値がある。劣勢の終盤で連続本塁打は決して簡単なことではない。ケンドリックの決勝弾も、1死満塁で併殺の可能性のある内野ゴロや三振は避けたいところ。プレッシャーのかかる状況で、内角156キロの直球をセンター返しで打ち上げた。お手本のような打撃が最高の結果を生み出した。

粘り強さとして顕著なのが2死からの打点だ。336は今季のナ・リーグで1位。リーグ優勝決定シリーズ第3戦は8得点中、7得点が2死からだった。短期決戦でもシーズン通りの戦いができているナショナルズ。エース右腕シャーザー、今季リーグ最多勝のストラスバーグら盤石の先発陣が力投し、粘り強い打線が応える。勢いだけでなく、土壇場での底力が快進撃の源となっている。【MLB担当=斎藤庸裕】(ニッカンスポーツ・コム/MLBコラム「ノブ斎藤のfrom U.S.A」)