バットボーイから地道にキャリアを重ねてきたペリー・ミナシアン氏(40)が、エンゼルスの新GMとしてチームの立て直しを託された。本拠地のエンゼルスタジアムで行われた就任会見ではオンラインで日米メディアの取材に対応。冒頭でこう言った。

「野球の試合に携わって、33年。野球を愛している。その浮き沈み、人々、またその物語がすごく好き。袖をまくり、仕事に取りかかることが待ち遠しい」

ハキハキとした受け答えは自信に満ち、何事にも動じない芯の強さを醸し出す。エ軍のモレノ・オーナーによれば新GMの候補者は18~20人で、ミナシアン氏は高いコミュニケーション能力を評価された。経歴は独特で、少年の頃からレンジャーズのバットボーイとして選手のバットを管理し、クラブハウスのスタッフとしてはシャワー室やトイレの掃除、ユニホームの洗濯などを手伝ってきた。新人からベテランまでさまざまなタイプの選手や監督、コーチと長年、身近に接してきた経験がある。

米スポーツ専門メディア「ジ・アスレチック」によれば、03年からレンジャーズの監督を務めたバック・ショーウォルター氏が、当時のミナシアン氏を振り返り、こう表現した。「彼は全ての選手を知り、また全てのプロフィル、成績を把握していた。そして、全ての人に対して敬意を表していた」。選手や野球関連の質問をすれば、スラスラと答え、驚かされたという。

成績だけでなく内面まで選手をよく知ることは、チーム編成にあたって不可欠な要素だろう。初のGM業を「非常に楽しみにしている」と、興奮気味な様子だったミナシアン氏。エ軍は5年連続で勝率5割以下に低迷し、6年連続でプレーオフ進出を逃している。補強については「投手が最優先」と即答した。構想の中にはもちろん、投打の二刀流で再復帰を目指している大谷翔平投手(26)も含まれている。先発、中継ぎともに手薄な状況をいかに打破するか、コミュニケーション力にたけたミナシアンGMの手腕が試される。【MLB担当=斎藤庸裕】

(ニッカンスポーツ・コム/MLBコラム「ノブ斎藤のfrom U.S.A」)