エンゼルス大谷翔平投手(28)は次点で連続MVPを逃しましたが、チームは来季を見据えて積極的な補強に動いています。

まず、11月15日にドジャースFAの左腕タイラー・アンダーソン投手(32)と3年総額3900万ドル(約54億6000万円)で契約しました。今季は先発で15勝5敗、防御率2・57の好成績を収め、ド軍の地区優勝に大きく貢献。プレーオフも先発で5回無失点と好投しました。同じロサンゼルスに本拠を置く名門球団で優勝経験と大舞台での実績があります。

最も注目すべきは、2年連続で規定投球回に達していることでしょう。エ軍ではこの2年、規定投球回に到達したのは今季の大谷だけ。その点でもエース大谷に次ぐ2番手として大いに期待が持てます。

先発ローテーションに左腕が4人と懸念する声もありますが、ペリー・ミナシアンGMは「質の高い投手であれば左右は関係ない」と自信を深めています。チームは1990年代に、エースのマーク・ラングストン、チャック・フィンリー、隻腕ジム・アボットの「サウスポートリオ」で成功した歴史があるからです。

同18日にはツインズからジオ・ウルシェラ内野手(31)をトレードで獲得。ヤンキース時代の19年に打率3割1分4厘、21本塁打の好成績をマーク。また、三塁手として好守備を連発し、地区優勝に貢献しました。

ケガの多いアンソニー・レンドン三塁手(32)の代役になりますが、同GMは「毎日試合に出場するレギュラーと考えている」と明言。つまり、内野の4ポジションに5人のレギュラーがいるという考え方であり、勝つための貴重な戦力となりそうです。また、今季大リーグ30球団中で最多三振を喫した攻撃陣でしたが、同GMは「コンタクト能力に優れるうってつけの戦力だ」と説明。ミート力に優れる巧打者としても期待できそうです。

同23日にはブルワーズからハンター・レンフロー外野手(30)をトレードで獲得。パドレス時代の19年に自己最多33本塁打を放った右のパワーヒッターです。レッドソックス時代の21年には右翼守備で16補殺を記録しており、まさに強肩強打の外野手です。何よりも、メジャー7年間で負傷者リスト入りが2度だけと故障が少ない。毎年のように主力をケガで欠くチーム事情があり、計算できる戦力となりそうです。

その一方で、ウルシェラもレンフローも来季終了後にはFAとなります。ある米記者は、1年しかプレーしないベテランのために、若手4投手を放出したことに疑問を呈しました。しかし、それは来年のプレーオフ進出に懸ける強い証しです。来年のチーム成績次第で、シーズン終了後にFA権を取得する大谷と再契約できるかが決まると言っても過言ではありません。

今後も先発投手はさらに1人、リリーフ投手も複数人の獲得に動くでしょう。来年こそ勝って、大谷を引き留めたいとする意気込みがひしひしと伝わります。電光石火の早業で商談をまとめているエンゼルスが、オフの移籍市場で主役になりつつあります。(大リーグ研究家・福島良一)(ニッカンスポーツ・コム/MLBコラム「福島良一の大リーグIt's showtime!」)