アーチ量産とともに、「June Bloom(6月の輝き)」の真打ち登場です。まさに「ショータイム」の季節到来。今季も6月の声とともに、エンゼルス大谷翔平投手(28)の打撃が絶好調です。
17日(日本時間18日)のロイヤルズ戦でメジャー単独トップに立つ23号ソロを放ち、球団史上最速で150号に到達。18日(同19日)の同戦でも、現役2位224勝の右腕グリンキーから逆転の決勝24号2ラン。18日時点で6月は17試合に出場し、月間成績は9本塁打、20打点、出塁率5割、長打率9割3分8厘、OPS1・438の6部門で両リーグトップ(試合数と出塁率は1位タイ)という猛打ぶりです。
例年、この時期になると大リーグでは投手が疲れ始め、一方で打者は夏の到来とともに調子を上げます。特にホームランバッターは気温の上昇によって打球が飛び、記録などが生まれやすい傾向にあります。
1998年6月、サミー・ソーサ(カブス)は月間新記録の20本塁打をマーク。一時はマーク・マグワイア(カージナルス)を14本差で追う展開から猛追し、2大スラッガーによる史上空前の本塁打レースが繰り広げられました。9月には、ともにロジャー・マリス(元ヤンキース)の61号を超え、最終的にマグワイアが前人未到の70発を量産(2001年にバリー・ボンズが73本塁打で更新)。ソーサも66本塁打まで追い上げました。
最近では2021年6月、カイル・シュワバー(ナショナルズ)が両リーグ最多の16本塁打をマーク。同19~29日にかけて、メジャー歴代最多記録に並ぶ10試合で12本塁打の固め打ち。また、18試合で16本塁打の記録にも並びました。昨年フィリーズ移籍後も6月に両リーグ最多の12本塁打を放っており、その勢いに乗ってナ・リーグ最多の46本で初タイトルを獲得。今季も6月は両リーグで3位の7本塁打と好調です。
2017年8月には、ジアンカルロ・スタントン(マーリンズ、現ヤンキース)が8月に18本塁打を量産。最終的にナ・リーグ最多の59本塁打をマークし、自身2度目のタイトルを獲得しました。このように、7月はオールスターゲームで試合数が少ないため、6月と8月に月間本塁打記録が多く生まれる傾向にあります。
そういう意味では、6月はホームラン王獲得へ最初の「勝負月」といえるでしょう。ところで、米国ではあまり「Mr. June(ミスタージューン=6月の男)」という呼び方はしません。昔からの野球用語「June Swoon(6月の失速)」との対比語として、「June Bloom」のような言葉が使われています。
かつて、1981年にヤンキースがデーブ・ウインフィールドと10年契約を結びました。ところが、ワールドシリーズで全く打てず、大舞台に弱いレッテルが貼られました。当時のジョージ・スタインブレナー・オーナーは、シーズン序盤の5月にしか働かないことから、「ミスターメイ(5月の男)」と酷評しました。エンゼルスOBのレジェンド、ワールドシリーズで無類の勝負強さを発揮したレジー・ジャクソンの異名は「ミスターオクトーバー(10月の男)」でした。つまり、秋のポストシーズンで輝けない選手は、皮肉っぽく「5月の男」や「6月の男」などと冷やかされるということです。
「Bloom」とは、「輝き、花盛り、最盛期」の意味です。まさに、華もある今の大谷にはピッタリの異名でしょう。いずれにせよ、「エンゼルス大谷」としてシーズンを完走するためにも、チームは地区優勝争いに加わり、8月1日(同2日)のトレード期限まで買い手市場に居続ける必要があります。「最強開運月」にいる大谷が打ち続けることで、両者にとってもウィンウィンな「蜜月」を願うばかりです。(大リーグ研究家・福島良一)




