ドジャース大谷翔平投手が、同一年のポストシーズン史上初めて投手でも野手でも先発出場しました。世界一を懸けた決戦の舞台でも、元祖二刀流ベーブ・ルース以来初の本格的な二刀流プレーヤーとなりました。そこでルースの二刀流時代を振り返ってみます。
1914年、レッドソックスに将来有望な19歳の左腕投手として入団しました。15年に18勝8敗の好成績を挙げ、16年には何と23勝12敗でア・リーグ最高勝率の6割5分7厘、防御率1.75で両タイトルを獲得しました。
しかし、18年頃から登板しない時は持ち前の打力を生かすため、レフトや一塁を守るようになりました。そして、その年に投手として13勝7敗し、まだ「飛ばないボール」の時代ながら11本で初のホームラン王を獲得。初の2桁勝利&2桁本塁打も記録し、リーグ優勝に大きく貢献しました。
さらにワールドシリーズでも2勝して世界一の立役者となり、しかも16年の同シリーズから29回1/3連続無失点という活躍ぶり。後に62年ホワイティ・フォード(ヤンキース)に破られるまで、同シリーズ記録として40年以上も残りました。
一方、打撃では第1戦が9番投手、第4戦が6番投手として先発出場。第6戦はレフトで途中出場し、合計3試合で5打数1安打、0本塁打、2打点。第4戦の4回に自ら援護する貴重な先制2点適時三塁打を放ちましたが、残念ながらホームランは出ませんでした。
ちなみに、これまでポストシーズンで本塁打を放った投手は22人います。そのうち17人がホームランを打った試合で勝利投手と投打に活躍しました。中でも67、68年のボブ・ギブソン(カージナルス)、69、70年のデーブ・マクナリー(オリオールズ)は2年連続で本塁打を放ち、マクナリーは満塁ホームランも打ちました。
ただし、現役時代に強打で鳴らした投手の打撃成績を見ると、意外にも歴代2位の通算37本塁打を放ったボブ・レモンは13打数ノーヒット。元ドジャースの「ビッグD」こと巨漢ドン・ドライスデールも通算29本塁打を放ちながら10打数ノーヒットに終わっています。
現代の投手を見てもカルロス・ザンブラノ(カブス)が通算24本塁打を放ちながら、ポストシーズンでは10打数1安打でホームランなし。マディソン・バムガーナー(ジャイアンツ)に至っては通算19本塁打ながら、27打数ノーヒットと全く打てませんでした。
この結果を見てもわかる通り、やはりポストシーズンともなれば強豪チームが相手なので一流投手ばかり。レギュラーシーズンと違って、野手でもホームランを打つのは容易でありません。ましてや、どんなにバッティングがいい投手でも、本塁打を放つのは至難の業です。
にもかかわらず、超一流投手であり、超一流打者でもある大谷とは言え、ワイルドカードシリーズ初戦から先頭打者弾を含む2本塁打とは驚きです。しかもレッズの若きエース、ハンター・グリーンが投じた100.4マイル(約162キロ)の剛速球を打ち返し、さらに飛距離454フィート(約138メートル)の特大ホームランも打ちました。
世界一を懸けたポストシーズンの大舞台で、元祖二刀流ルースも成し得なかった「同一年での勝利投手&本塁打」を達成しました。これからも、投打二刀流ならではの歴史的な偉業や記録を作ってくれそうな気がします。【大リーグ研究家・福島良一】(ニッカンスポーツ・コム/MLBコラム「福島良一の大リーグIt's showtime!」)




