ドジャース大谷翔平投手か、それともカブスのPCAことピート・クローアームストロング外野手か?ここに来て、日米ともナ・リーグMVP争いの話題で盛り上がって来ました。その前に、日本のプロ野球がほぼ優勝チームからMVPを選ぶのに対し、昔から大リーグは全米野球記者協会による選考基準が実にあいまいでした。なぜなら、MVPという文字通り「最も価値ある選手」として個人の成績よりチームへの貢献度を重視するはずが、過去にこんな騒動もあったからです。
1987年、カブスのアンドレ・ドーソン外野手はチームが最下位だったにもかかわらず、ナ・リーグ2冠王となる49本塁打、137打点の活躍でMVPを獲得。確かに、その時代に米球界で最重視されたのは打点というのが衆目の一致したところ。その結果、メジャー史上初めて最下位球団からMVPとなりました。
その時、カージナルスの地区優勝に貢献しながらMVP投票2位で受賞を逃したオジー・スミス遊撃手が「もしその選手がいなかったらチームはどうなっていたか? それがMVPを決める重要な要素であり、最下位球団から選ばれるのはおかしい」と異議を唱えました。確かに、その選手がいてもいなくても最下位では論外です。
それをきっかけにア、ナ両リーグともMVPの選考基準が見直され、基本的にチームの優勝、または優勝争いに貢献した選手、特例としてエンゼルス時代の大谷のように歴史的偉業を成し遂げた選手が最高の栄誉に輝くようになったのはうれしい限りです。そこで前置きが長くなりましたが本題に入ります。
今年のナ・リーグMVP争いを考えると、もしドジャースに大谷がいなくてもチームは優勝というのが大方の予想です。それに対し、今季カブスの戦いぶりを見ると、チームが勝つも負けるもPCAの活躍次第。もしPCAがいなければ優勝を狙うどころか、ワイルドカードすらなかったと言われます。
特に、5月23日から1番打者に抜擢(ばってき)されて以来、8月20日(日本時間21日)時点で73試合に出場して打率3割9厘、24本塁打、55打点、19盗塁、OPS1.081をマーク。そのうえ、メジャー最高の中堅守備を誇り、今シーズン序盤2度も10連勝しながら10連敗を喫するなど浮き沈みが激しかったチーム躍進の若き原動力となっています。
一方、大谷はシーズン前半戦に比べて後半戦の成績が30試合で打率2割8分7厘、8本塁打、22打点、1盗塁、OPS.909とやや低下し、7月3日以来投手としての登板もありません。そういう意味では、現在のところMVP争いでPCAが優位に立っていると言えます。
しかし、毎年のことながら本当の勝負はこれからです。
思えば、2024年9月にドジャース1年目の大谷は26試合で打率3割9分3厘、10本塁打、32打点、16盗塁、OPS1.225。昨年9月も24試合で打率3割1分2厘、10本塁打、17打点、OPS1.165。また、投手として3試合に先発登板し14回2/3で無失点、18奪三振をマーク。エンゼルス時代から3年連続でMVPに輝きました。
したがって、シーズン終盤の活躍でMVPが決まるといっても過言ではありません。はたして、大谷が4年連続5度目のMVPに輝くか、それともPCAが初受賞なるか? 残り1カ月余りで決着がつく2人のMVP争いに注目です。【大リーグ研究家・福島良一】(ニッカンスポーツ・コム/MLBコラム「福島良一の大リーグIt's showtime!」)




