スポーツ専門局ESPNは1日、「ハッピー、ボビー・ボニーヤ・デー」と称し、この日にメッツがボビー・ボニーヤ氏に119万3248.20ドルを支払ったことを伝えた。

現在56歳のボニーヤ氏は1987年、パイレーツでスイッチヒッターの3塁手としてメジャーデビューし、めきめきと頭角を現した。1991年にはFAとして当時最高額の5年2900万ドルでメッツに移籍、その後オリオールズ、マーリンズ、ドジャースと渡り歩いた後、98年にメッツに復帰した。だが、99年シーズン後メッツはボニーヤ氏を戦力外として放出したのである。ただこの時、メッツはボニーヤ氏に590万ドルの支払い義務があった。

これに対し、メッツとボニーヤ氏は590万ドルの支払いを免除する代わりに8%の利子を含め、2011年7月1日から25年間にわたり、年約120万ドルの支払いを行うことで合意したのである。当時メッツのオーナーだったフレッド・ウィルポン氏は詐欺事件に関与しており、チームが年二桁の成長を続けることができると考えていたことがその背景にあったとされている。

いずれにせよメッツはボニーヤ氏が72歳になる2035年まで約120万ドルを毎年支払う義務を負っているのだ。この額は若手として活躍するピート・アロンソ一塁手とジェフ・マクニール外野手に今年支払う額を上回ると見られている。ちなみにボニーヤ氏はメッツから放出された後、ブレーブスとカージナルスに所属し、2001年シーズン後引退している。

実はこうした既に引退した選手に対する支払いは他にもある。ボニーヤ氏に対してはメッツとオリオールズが前述とは別に2004年から25年間、年50万ドルを支払っている。またナショナルズのマックス・シャーザー投手は2028年までに合計1億500万ドルを受け取る契約を結んでいる。レッドソックスなどで活躍し、日本の独立リーグ、高知ファイティングドッグスでもプレーしたマニー・ラミレス氏もレッドソックスから2026年まで合計2420万ドルを受け取るということだ。

こうした既に引退した選手に対して支払い続ける義務をどう見るか、契約とチーム運営がいかに難しいものであるか改めて考えさせられる。