マイナーリーグ(MiLB)が揺れている。

まず社会問題化しつつあるのが、16日付のニューヨーク・タイムズなどが一斉に報じたMLBがMiLBに対して提案したとされる縮小案だ。報道によればMLBの提案内容の骨子は現在約160あるMiLBのチームのうち、26パーセントにあたる42チームを削減する、削減対象となるのは主にショートリーグやルーキーリーグなど下層に属するチーム、MLBの1チームが保有する選手数を現在の260超から150人に減らす、ドラフトでの指名ラウンドを現在の40巡から20巡に減らすというもの。

この提案は2020年で現在MLBとMiLBが結んでいる協定が失効することを受けたもので、MiLB選手の給与引き上げが今後行われることを見越し、その分の経費節減を目的としている模様だ。ただ1Aのコネチカット・タイガースが本拠とするコネチカット州ノーウィッチのピーター・ナイストロム市長が反対を表明、さらに民主党の次期大統領候補で、急進左派として知られる上院議員バーニー・サンダース氏がロブ・マンフレッドMLBコミッショナーに宛てた削減計画を強く非難する書状を公開するなど騒ぎは大きくなる一方だ。

そんななかMiLBは逆にビジネスを強化するための策も講じている。「経験を豊かにし、思い出に残る瞬間を増やし、(我々の)ユニークな精神を伝えるため、スタジアムの内外で(ファン)にリーチしなければならない」として、大手広告代理店オクタゴンと契約したことを発表したのだ。

発表によるとパートナーシップは3段階に分かれており、デジタルでのファンの調査と現在のデジタルプラットフォームの分析と開発、メディアコンテンツ戦略と、ターゲットを絞ったメディア著作権配布戦略を展開していくという。既に最初の2段階は終了しており、現在は新たなメディア露出機会にフォーカスしているとした。

MiLBは近年リーグ全体を通したビジネス展開に力を入れており、ヒスパニック系住民とそのコミュニティーを対象としたキャンペーン、コパ・デ・ラ・ダイバーシオン(ファンカップ)は来年92チームが参加するまでに成長している。またLGBTに焦点を当てたLGBT+MiLBプライド・プラットフォームでは今年71チームが参加した。

オクタゴンのダニエル・コーヘン副社長は「アメリカにはマイナーリーグベースボールに匹敵するスポーツ資産はありません。ファンに6700を超える試合と1万6000時間のライブコンテンツが毎年提供されています」とMiLBの強みを強調している。

MLBが削減を提案する一方で、さらなる拡大の姿勢を示すMiLB。両者の思惑の行方は混沌(こんとん)としている。