MLBの開幕が決まった一方で、現地6月30日、マイナーリーグベースボール(MiLB)が今シーズンの中止を正式発表した。新型コロナウイルスの感染拡大で開幕が延期されていたが、結局シーズン全体の中止に追い込まれてしまった。

ただ中止が決まった要因はMiLBではなく、MLBがマイナー契約の選手、監督らを派遣しないと通告したことによるものだ。発表文でも「その結果として2020年にマイナーリーグベースボールのシーズンはなくなった」と記されている。MiLBは全チームが独立経営となっているが選手や監督は契約するMLBチームが派遣する形をとっている。そのため選手などの給与はMLBチームが支払っており、マイナーチームは負担しなくてよいものの派遣を受けられなければシーズンを行うことは不可能なのだ。

こうした事情もあってこの発表に落胆の声が各地からあがっている。トリプルAインターナショナルリーグのランディ・モブリー社長は「137年間で初めて、2020年にリーグが試合を開催しないことを確認したことはとても遺憾です」とコメント。さらに「数時間前まで14の所属チームは60試合の短縮したシーズンを行う可能性のための計画と準備を続けていました」と決定が突然であったことを明かしている。その上で今は「来年4月にファンとスポンサーを私たちの素晴らしい球場に呼び戻す計画と準備をしているところです。ファンにチームとのつながりを保ってもらえるようにします」と前向きな姿勢を見せている。

また、トリプルAパシフィックコーストリーグのブランチ・バレット・リッキー社長も「今日は重大な日です。パシフィックコースとリーグの118年の歴史で初めてシーズンが中止となりました。しかし、全体的に非常に残念な発表であることは明らかですが、そこから得られるものはいくつかあります」と話し、どれぐらい試合を愛し、観戦したいかを改めて気づくことで「私たちが愛しているものの懐かしさに浸り、野球がどれだけ私たちの家族の生活の一部であるかを振り返ることは、心を温めてくれます」とした。

一方、トリプルAインターナショナルリーグ所属でタイガース傘下のトレド・マッドヘンスは声明で「トム・ハンクスは『野球で泣くことはない』と言いましたが、今日は少し涙が流れた気がします」とし、「メジャーリーグは、COVID-19のパンデミックのため、2020年のマイナーリーグのシーズンはプレーしないと発表しました。この展開に悲しんでいると言うのは控えめな表現ですが、この決定が軽々しく下されたわけではないことを知っています」と理解も示した。

MLBがマイナーチームの削減を進めようとしていることもあって、今回のシーズン中止でMiLBにはさらに険しい道のりが続きそうだ。