ヤンキースとメッツ。ニューヨークに本拠を置く2チームが好発進を見せている。現地5月3日終了時点で、ともに18勝を挙げており、MLB全体でトップタイだ。ヤンキースは11連勝中でもある。

ヤンキースに関しては今オフ、同チームとしては異質ともいえる方法で戦力構築を図った。フリーエージェントの選手の獲得に3450万ドルしか使わなかったのである。これはMLB全体での同支出額で19番目という少なさだ。21年に1億1450万ドル、20年に3億3650万ドルを使っていたことを見ると、ブライアン・キャッシュマンGMがいかに支出削減策をとっていたのがわかる。ただし今シーズンの総給与額2億4540万ドルは、まだ3番目の多さだが。

その緊縮策の中でのFA獲得で成功しているのが、アンソニー・リゾ一塁手の活躍だろう。2年総額3200万ドルで契約したリゾは現在トップタイの9本塁打、21打点は4位と気を吐いている。

さらにアーロン・ジャッジ外野手も同じく9本塁打、7位タイの19打点と好調で、相手投手にとっては厳しい打者が並ぶ。

またチーム全体でも35本塁打はトップ、112打点は2位タイでまさにブロンクスボンバーズといった様相である。

一方、メッツはヤンキースとは逆に大きな資金を投じて戦力補強をし、好調を得た。オフに投じた額は3億980万ドルでこれはMLB4位。今シーズンの総給与額2億5830万ドルは2番目の多さだ。

3年1億3000万ドル、1年あたりではリーグ史上最高額4330万ドルという契約を結んだマックス・シャーザー投手はここまで5回先発し、4勝0敗と期待通りの活躍を見せている。

チーム全体でも防御率3.21は6位、1投球回あたり何人の走者を出したかを表す数値WHIPの1.05、被打率2割はいずれも2位だ。

さらに打撃でも安打数232、出塁率3割3分8厘はトップ、112打点はヤンキースと並んで2位タイだ。まさに投打がそろっているのである。

メッツがさらに恐れられることになりそうなのはこれでも先発陣が万全ではないからだ。現在シャーザー、クリス・バシット、タイラー・メギル、カルロス・カラスコというローテンションになっているが、2度サイヤング賞に輝いているジェイコブ・デグロムが今後加わることになりそうなのである。デグロムはスプリングトレーニングで肩を痛めて戦列を離れたままだ。ただ4月25日に受けたMRIとCTスキャンの検査結果からは徐々に回復していると発表されている。

ニューヨークの2チームがこのままプレーオフまで突っ走ることができるか注目だ。